『マラルメの火曜会 世紀末パリの芸術家たち』 丸善ブックス
著者/ 柏倉 康夫
出版年月日/1994年9月30日
出版社/ 丸善
の 読書感想文
1890年、マラルメからポール・ヴァレリーにあてた手紙。 「助言を欲しいということですが、何よりも孤独を、あなたの孤独を私は羨ましく思うのです。私はいま、青春の日々を、ちょうどあなたのように田舎ですごした日々を、思い出しています。それは二度とかえってはこないでしょう。」
かつてヴァレリーだったマラルメ(1842-1898)。 1871年、田舎から、少なくとも当時のフランス文化の中心であるパリに出てきたマラルメ。 いつしかパリになじんだマラルメ。 火曜日には人々がマラルメを慕って集う。
ちなみに、ポール・ゴーギャン《ステファーヌ・マラルメの肖像》は1891年の作。 その絵が展示されていた展覧会を見てきた埴子。(『ルドンとその周辺―夢見る世紀末』展の感想文)
孤独がうらやましい、という言葉はもちろん皮肉ではなく本心のようで、ヴァレリーも素直に、と言うより啓示のように受け取っている。 「彼は助言が欲しいという私の申し出をことわり、ちょうど護符の秘密をもらす魔術師のように、孤独、この唯一のよき霊感の源にだけ、私を差し向けてくれました。」
詩ではなく絵についてですが、武者小路実篤の『よき画をみるよろこび』という詩の一節。(参考:『武者小路実篤詩集』の読書感想文) 「よき画はすべて 淋しき魂によって生まれ 魂を求むるものによって生まるゝを 我はじかに知りたり」
孤独が、文化・芸術など、何かよきものを生む源なのか。 孤独は人間には必要なものなのか。
孤独になりがちな人ほどよきものを生む?
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2012/02/21up
2012/02/24更新