ユベール・ロベール −時間の庭−
の 感想文(2012の5)
遺跡・発掘・廃墟・古代。そういったものから広がる何か。 きっとヒントがあるだろうと思って出かけてみる。
ぐるっとまわってみると、まず油彩の空の色が独特なのに気づく。 ロベール以外の作品も展示されているので、際立ちます。 淡いけど、なぜかひきつけられる青。
そして、アーチが多いことに気づく。いったいいくつあるんだ。 門や入口や窓や橋やトンネル。 ヨーロッパの建築にはアーチの文化が根付いているのね。
アーチの向こうの遠い空はロベールの青がぴったり。 特にアーチが深くて影が濃くて空がほんの少ししか見えない構図。
《セプティミウス・セウェルス凱旋門のヴァリエーション》1756年 迫力あるアーチ。門そのものの力が伝わってくる。はっきりとした重量を感じる。 門に比べると、下の像や兵士たちはいまひとつ。 淡く色をつけてあるようです。
《カプラローラ、ファルネーゼ宮の地下の円形建築(ロトンド)》1761年 サンギーヌ なぜか近未来のイメージを持ちました。 そして縁取りって重要だなあと思いました。
《古代のアーチの下の通り道》 1763年 サンギーヌ 今回の一番。 まさに、タイムトンネル。 これを部屋に飾っておきたい。
《古代遺物の発見者たち》1765年 油彩 一押しされるだけのことはあります。やはり深いアーチ。ロベールの空。
《サン・ドニ教会の内部》1770ー74年 油彩 厳密にはアーチじゃないし、空の色もはっきりしないんだけど、ひかれました。 人が目立たないのがいいのかもしれない。
《凱旋橋》1782-83年 油彩 これより大きくて横長の《スフィンクス橋の眺め》(1767年 油彩)も目を引きました。 しかし、大きいせいか、近づくといろんなものが、特に人物が多く、騒がしすぎる。遠目は良し。 よけいなものが少ない《凱旋橋》のほうがいいです。より少ないほうが、より広がる。自由。
《サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩》1794年、油彩・陶製皿 他の絵では窓がたいていアーチ状なのに、この皿の窓は四角い。悲しい。
人物はあまりいいと思わなかったです。軽い感じなのはむしろいいのですが。 過去を想像するには限界があるのか。
何よりもまず建築物。 重みのある確かな物体。そこからようやくいろんな世界が広がる。
水の青はどんよりした感じ。そして滝はあまりにも勢いがない。ひかれない。 長い歴史だとか、時間をさかのぼるだとか、そういうことをあらわしているのか… たぶん違うなー
空の青は素晴らしい。アーチ形に切り取られた空。
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サンギーヌそのものも展示されていました。確か、赤と白と黒。 断面は四角いのね。チョーク、と言われて想像していたよりも、細い。
手が汚れると絵も汚れて大変面倒なことになりそうだという心配は、ホルダーをみて解消。 なるほど。それで手が汚れないのね。 |
グッズなどについて。 Tシャツなど、いろいろ。
図録。 展示室内に置いてありました。しかし見ていません。作品を見るだけで精いっぱい。
出品リスト。 なぜか配布していませんでした。欲しかった。西洋美術館のサイトで見られます。PDF。 というわけで、この感想文内の画材などは(たぶんこれ)という程度だと思ってくださいな。
代わりに、各章の解説と地図を載せたパンフレットが置いてありました。
ポストカード。 色などは、実物よりややはっきりさせていると感じましたが、そう極端でもないと思います。 送るのではなく飾るためのものとして、《古代遺物の発見者たち》の 彩色の前と後を葉書サイズの紙の裏表に印刷したものがありました。 なるほどーの試み。
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混雑状況報告。 並ぶほどではありませんでした。空いていたと言っていいでしょう。 どの絵も短時間なら独占可能。 サンギーヌなどの小さめの絵は、作品によっては、ちょっと待って見る、というところです。
水曜日、10−11:30ぐらい。 4往復ぐらい。
2012/03/21訪問 |
2012/03/23up
セザンヌはアトリエにユベール・ロベールの版画を飾っていたそうです。
2012/06/10追加 |
このページの画像はすべて、埴子が撮影したものです。 |
会場|国立西洋美術館 会期|2012年3月6日(火)〜5月20日(日) 休館日|月曜日(*ゴールデンウィーク(4月28日〜5月6日)は休まず開館) 開館時間|午前9時30分〜午後5時30分、毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時 入館料|一般1,300円、大学生1,000円、高校生600円
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