モローとルオー ‐聖なるものの継承と変容‐ 展
の 感想文 (2013の08)
10周年だそうです
明かりの反射が少なくて見やすく、作品にも観客にも配慮のある、おすすめの美術館。
ルオーのデッサンすごいなあ。 しっかり詰まった筋肉。 だから男性がモデルの絵はどの時期の作品もいい。女性はいまいち。
筋肉は熱を作る。 ルオーの絵は、たとえ全体に暗い色でも寒い感じがしないのはそのせいか。
相対的に冷たい印象のモローは脂肪か。うすく乗った脂肪。 断然女性だし。男性も女性的。 いや、モローはもはや肉体を離れてしまっているかも。
各自、親和性というものはあるだろうな。馴染みがいいとか、得手であるとか。 それが方向性になってあらわれる。描くほどに、はっきりしてくる。
二人の体温の違い。 違うからこその相性の良さか。
*ジョルジュ・ルオー 《トゥリウスの家におけるコリオラヌス》 (日本初公開 1894年 油彩/カンヴァス 46×38cm パリ、国立高等美術学校)
光。なるほどレンブラントの再来と言われるだけのことはある。 しかし筋肉の充実のほうに目が行く。というより迫ってくる。
*ジョルジュ・ルオー 《人物のいる風景》 (1897年 木炭、パステル・紙(紙と麻布で裏打ち、パナソニック 汐留ミュージアム)
木炭とパステルで、この重みとヴォリューム。
*ギュスターヴ・モロー《油彩下絵または聖女カエキリア》 (油彩/カンヴァス 86×68cm パリ、ギュスターヴ・モロー美術館)
縦にかすれるような油絵具のタッチ。
*ジョルジュ・ルオー 《聖顔》 (1933年 油彩、グワッシュ/紙(カンヴァスで裏打ち) 91×65cm パリ、ポンピドゥーセンター国立近代美術館)
信仰を持たないものには、ほんとうの意味では見ることができない絵かもしれない。
*ギュスターヴ・モロー《トミュリスとキュロスまたはトミュリス女王》 (油彩/カンヴァス 57.5×87cm パリ、ギュスターヴ・モロー美術館)
本展一番。初めから目を引いた。人物ではなくて全体の空気。
モローの油彩下絵4点。 思いのままに出した色。そのままモロー。
フランス国立美術学校で始まった師弟関係。 二人とも、ローマ賞なるフランス政府がくれる賞を惜しいところでもらい損ねたらしい。 いちばん欲しかった賞らしい。 ルオーはいろいろ他の賞を獲って奨学金をもらっていたようではある。
明確な目標を持つことの効果は。 モローもルオーも王道を求めた。そのあとだからこそ、自分の道がみつかったのか。 ある一つの型を極めてから、その型を破る。枠にはまってから、その枠をはずす。 抑圧からの解放。その時の放出力。
個が自己ベストに到達したとき、過去のつながりはどうなるのか。
しかしデッサンの方眼線、ずれてる曲がってる。フリーハンドもあるし。いいのか。 線をまったく引かないよりはとらえやすいのかな。
モローの遺言でモロー美術館初代館長となったルオー。 師弟関係はモローの死後も続く。 それはそれで大変だったようだ。 愛と尊敬としがらみ。葛藤。 ともかく作品はのこされてここにある。
モロー美術館のらせん階段にくらくらする。
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混雑状況報告。 入口に行列ができるほどではないですが、館内はけっこう混んでいました。
大きい絵の方が独占しやすい。
狭まっているところはやや通りにくい。 特に、八角形の、両側に展示があるところ。 少し下がって見ようとするとぶつかりそうで見にくい。 あまり広くはない会場なので、作品をできるだけ多く展示しようとすると仕方ないのかも。
会場内最後のほう、4K対応スマートビエラで映像を流しているのですが、 絵の展示ルートの途中なので、絵を見る人に気をつけながら見る感じでした。 もっとも、そんなに長くない映像なので人がたまって困るほどではなかったです。
会場外の映像は見ず。 こちらは椅子に坐って見るようになっていました。内容が被っているのかどうかは不明。
5往復ぐらい。
2013/11/22(金)12:00-13:45訪問 |
グッズなどについて。
図録。 館内に一冊。ちょっと見せてもらいました。 展示されていない作品の写真もありました。 図録というのは、文章を手に入れるためのものかも。
ポストカード。 やはり色が。残念。
今回は珍しくお買いもの。 「モローとルオー」展×「フェーヴ」開催記念限定コラボスイーツ。 落花生の苺ココナッツミルク包み、ドライキウイ添え。まだ頂いておりません パッケージは2種類。
左・ギュスターヴ・モロー《ユピテルとセメレ》 右・ジョルジュ・ルオー《我らがジャンヌ》
中身は同じだそうです。 なぜ両方入手したかというと ひとつは自宅用、ひとつはお土産にしようと思ったのと 二つセットにはおまけがついていたのでついつい。
昨年のジョルジュ・ルオー アイ・ラブ・サーカス展グッズ。 フレンチカンカン・ルーレット 『100年前 パリのキャバレーで大流行』とのこと
へえ と 気にはなっていたもの。 ルオーのイメージではないのですが。
そして 本展には関係がないのですが
思わず購入してしまったもの。
マグリットの2014年のカレンダー
まだ開けてない。動物多めらしい。
やっぱり好きだわ。体温が上がるわ。
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このページの画像はすべて、埴子が撮影したものです。 |
2013/11/23up
会期|2013年9月7日(土)〜12月10日(火) 休館日|毎週水曜日
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