モダン・アート,アメリカン
−珠玉のフィリップス・コレクション−
の 感想文
ざっと流し見の初めっからきたもの。
マースデン・ハートレー《野ばら》(1942年)
色だけかなと思いましたが違った。この重さというか密度というか、もったり感。 線も。なんというか、ちょうどいい。 表現媒体と表現方法がこの人にぴたっときている。モチーフもでしょうね。ぴたっ。
しかし他に2点あったのに、あとで出品目録を見るまで気付かなかった。それほどこの作品以外はこなかった。不思議。
テオドロス・スタマス《クロノスの生贄、No.2》(1948年) どこがどうとは言えないけど、画面の大きさを超える範囲に何かが及んでいる。 何か引き止めるものがある。
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2往復目くらいから魅かれたもの。
ジョン・マリン《海、ケープ・スプリット、メイン州》(1939年) 他の作品とちょっと感じが違ったので同じ作者と思わなかった。 でもこれいいですね。
ジョン・マリン《春 No.1》(1953年) マリン4点中ではこれが一番と思った。
今回、誰か一人の名前を挙げるならジョン・マリン。 他の作品も見てみたくなる。 フィリップスじゃなくてもこの人は買うでしょうね。 若干装飾的だけど、ぎりぎり踏みとどまってる。
岡田謙三《ナンバー2》(1954年)
日本人もいる。いろんな国にアトリエがあるこの人を日本の人と呼んでいいのかどうかわからないが。 トーンというかタッチというか、画面全体がいい。
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その他。気にかかったもの。
アルバート・ピンカム・ライダー 《月明かりの入り江》(1880−1885年) この絵のヒビというか線刻というか割れ目。人工か。自然か。100年以上経ってるもんなあ。これもアメリカの歴史か。
ジュリアン・オールデン・ウィア《牧場》 何かある。
モーリス・プレンダーガスト 2点 この人の作品は、印象派に分類していいのだろうか。並べると浮いてる感じ否めないが。かといって他にどこにいれようもない。
ジョン・マリン 《ウィーホーケン連作、No.30》(1916年頃) 小さい絵なので、上端が額の影になっちゃっているのが気になる。もったいない。せっかくパンフレットに載ってるのに。
ジョン・マリン《ブライアント広場》(1932年) いいんですけど何かちょっと。まとまりすぎというか。もうちょっと何か。
ダヴの作品は5点。面白いけどあと一歩な中、これは好き。 アーサー・G・ダヴ《黄金色の嵐》(1925年)
制作年は一番早い。前後の作品もっと見たい。
ジャック・トゥウォルコフ《高地》(1959年) 立ち止まらせる。
フランツ・クライン 2点 ぱっと見ると何か惹きつけられるものがある。 でもよく見ると違和感が。インクと紙がうまくいってない感じ。変質しているのかな。鮮度が命か。
墨と和紙で描いたらもっといいような気がする。ぴったりはまるような気がする。 と思ったけど、アジア文化の影響を否定していたらしい。これは館内でちらっと見た図録の情報。 純粋にアメリカンなものが作りたかったのかなあ。 でももったいない。 和紙を積極的に使っていたレンブラントは素直だったということか。時代も国も違うので簡単には比較できないが。
リチャード・ディーベンコーン《少女と植物》(1960年) 大きい画面だけど、ざくっとしたタッチだけど、画面に無駄がない感じ。要するに上手いのか。
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もうちょっと。 あと一歩。 なんでこれを買ったの。
全体的に未完成感はあります。
そんな中、宣伝部長の2人はさすがの完成度。オキーフ4点、ホッパー2点。
ジョージア・オキーフ 《ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ》(1929年) 質感。この壁。壁感。
エドワード・ホッパー《都会に近づく》(1946年) トンネルよりビルの窓が怖い。
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雑感
◎コレクションについて。 才能を見抜くというより、買うことで伸ばそう。 という趣旨を感じました。どうなのフィリップス。
◎展覧会そのものについて。 分類って難しい。
◎文化について。 歴史を作るには時間がかかる。文化は歴史についてくる。
古墳時代約300年。 ちなみに江戸時代も約300年。
埴子が思うに 文化は300年でくさる。 そして 文化も腐りかけがうまい。
というわけで ◎展覧会そのものについて再び。 アメリカ独立宣言が1776年。 アメリカ文化はそろそろ、うまくなる頃。 この展覧会の意義はそのへんにあるかも。
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2011/12/11追記 ◎コレクションについてその2。 歴史的史料としての購入、という側面もあるのかも。
史料か美術品か、という分類も難しいが。 どんなものも時間が経てば史料には違いない。 美術品かどうかも、時間に洗われてようやく決まるのだろうし。
でも残しておきたくても、何でもかんでもはとっておけない。 作品として保存するのか。 土や水に還すのか。 どんな形で新たに創られるものの材料にするのか。
無から有は生まれない。 破壊なくして創造なし。
古墳の上に古墳を作る。
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混雑状況について
会期終盤の金曜日11:30‐13:30。 6往復半くらい。
前半、団体さん2組くらいとかちあってしまいました。 しかし団体は集団行動をとらねばならず、あまり長居はできない運命。 というわけで、後半は、それなりに人はいましたが、見やすかったです。
2011/12/02訪問 2011/12/04up
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余談
この日は雨が降るぞという予報だったので、古い傘を持って新しい防水のブーツをはいて出かけましたが、行きも帰りも降らず。 傘をささずに済んでよかった。このブーツは晴れブーツかも。 でもせっかく防水なのに。
あっ 防水って そういうこと?
いやいや でも だったらいいな。
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会場|国立新美術館(東京・六本木) 企画展示室1E 会期|2011年9月28日(水)〜12月12日(月) 休館日|火曜日 開館時間|午前10時〜午後6時 ※金曜日は午後8時まで開館 入館料|一般: 1,500円
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