特別展 野見山暁治 展
と
コレクション展示
と本など
の 感想文
渡欧前の作品群の部屋、もう正直、入りたくない。 重い、暗い、硬い。若いってこういうことかなあ。 閉じている。 最近の作品と通じるものも、もちろんあるんだけど。
なぜ変わるところと変わらないところがあるのか。 なぜ変わるのか。なぜ変わらないのか。
渡欧してからも、明るくなったけど硬くて、そんなに変わった感じがしない。
《虚空》(1962年頃) ああこのピンク。とにかくこのピンク好き。最初は単純な好き。 でもぐるぐる回った後で、制作年を確認しながら見てみると、この絵の前後で絵が変わっているらしい。 展示はだいたい制作年順になっているものの、変化後の《冬の樹》(1964年)が1950年代の作品に挟まれている。 変化に気付くと、流して見ていても、そこで あれっ となる。《アンダルシア》(1964年)もすてき。
地色の上の淡い色。大胆だけど、べったりじゃなく、さあっと重ねられている。 線も広がって線じゃなくなる。 硬い感じがなくなっている。かといって柔らかいと言うと違うような。 何かの熱で境界が溶けた。開いた。
《蔵王》(1966年) この作品はもう間違いなくいい。
このあたりからだいたいいい。以下は個人的に気に入ったもの。 《風景》(1971年) 《ある日》(1982年) 《『四百字のデッサン』文庫本カバー装画》(1982年)
階段シリーズ。 きました。きました。本展一番。
《誰かが来る》(1990年) のポストカード このピンク。ひそかな青も。 《流れゆく階段》(1990年頃) 《冷たい夏》(1991年)
階段は鍵になるモチーフなのか。もっと見たい。 最小限の人工物。登るための。
《部屋の中の海》(1990年) 熱が出たときの夢に似てる。私の場合は迫ってくるのは岩。
なんだか可愛いのが紛れ込んでる。と思ったら題名も可愛い。 《さっきは御免》(1994年)[鉛筆、グワッシュ・紙]
《もう時間がない》(1999年) 青紫。
この人の描く少しくすんだピンクがとにかく好みで、その色をつい探してしまうけど、その色じゃないこの絵もよかった。魅かれた。
《待ちぼうけ》(2000年) 輪郭が溶けてゆく。 フライヤーとチケットに部分的に使われているけど、全体を見ないと、あんまりこないかも。もったいないかも。
フライヤーとチケットとポストカード どれもコピー
《言いたいことばかり》(2006年) 流れと重さ。
《予感》(2006年) 《また会った》(2008年) 《あしたの場所》(2008年) のポストカード
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全体を通じての印象。
自信というより自負。揺れはあるけど不安にならない。
言葉より得意な表現媒体があると、言葉で表現することは空しく感じるのかもしれない。そんな題名が多かった。 でも絵本の文章を読むに、この人は言葉も十分得意。他に本も出している。読もうかな。 (2011/12/11追記:『四百字のデッサン』読んでみました。はっきりしっかりオリジナリティ、強めの文章。椎名さんの話が印象に残った。)
キャンバスの側面に流れる絵の具。きっちり額装しないほうが、見どころが増えていいかも。
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年表を見ていたら、パリ滞在中にギメ東洋美術館に通ったとのこと。 ということは、ひょっとして、埴輪を見ましたか。(参照 埴輪まめ知識7 旅する埴輪)
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コレクション展示のよかったもの。
クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》1908年頃 ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃 パブロ・ピカソ《ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙》1913年 オシップ・ザツキン《ポモナ(トルソ)》1951年
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ミュージアムショップでポストカード購入。
あたりまえだけど実物と違う。 オリジナルとコピー。 でもコピーがなかったら困る。 オリジナルがあるところまで足を運ばせるのはコピー。 とどめを刺すのがオリジナル。
はっ 《待ちぼうけ》って そういうことなのか そんな深い意味が それは深読みしすぎか
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曇りの金曜日11−13。 6周ぐらい。コレクション展示は3周ぐらい。 絵を見るのに不都合なほどは混んでいなかったものの、入口に人がいたので建物外観の写真を撮りそびれた。 そして午後に入ると 徐々に増える観客。
2011/11/18訪問 2011/11/19up |
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再訪問。 水彩画と版画の一部が展示替えされていました。
以下、後期のみ展示されていた作品で、気になった作品。 《今朝の海》(1990年頃) 階段の作品が一つなくなった場所に、波を描いたこの作品。 と思って見ているからなのか、波は階段によく似ている。 もう階段にしか見えない。
《見送った日》(2004年頃) ほとんどの作品が、水をたっぷり含んだ塊がほどよいスピードでうねったりぶつかったりしているイメージなのに対して、この作品は水分がない。
《しま》原画(ゆうひがうみのかいだんをおりていく)(1999年) おお。階段一つ減ったと思ったけどここで一つ増えている。 この絵本も探してみよう。 (2012/01/05追記:『しま』読んでみました。大人向けの絵本かな。文・絵とも同じ人なので、ずれをあまり感じなくていい。やはり「ゆうひがうみのかいだんをおりていく」の絵が好き。)
《脱ぐ女》(1954年) なんだか面白い。腕の丸さが埴輪を思い出させるからか。
《古びた衣装》(1974年) 第3章の解説文によると重要な時期のデッサンのようだが、前期は展示していなかったので見たいと思っていた作品。 波のようだ。
やっぱりいいのは《虚空》(1962年頃)、何だか食べてしまいたい。
そして《蔵王》(1966年)、もしこの会場に一点だけしか展示できないとしたらこれがいいと思う。空間をちゃんと満たせる気がする。
2011/12/20再訪問 2011/12/21追記
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コレクション展示。
いいものは何度見てもいい。
そして 《考える人》オーギュスト・ロダン(1902年頃 , 高さ37.7cm, ブロンズ) コンパクトサイズの考える人。 身体の柔らかい人が寝ちゃったみたいな像だなあ。 夢想?
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会場|ブリヂストン美術館 会期|2011年10月28日(金)〜2011年12月25日(日) 休館日|月曜日 (祝日の場合は翌日) 開館時間|10:00〜18:00 入館料|一般個人:1,000円
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今回は、CJキューブさんの本展のチケットプレゼントに応募して見事当選。ラッキー。
頂いたチケットで鑑賞してきました。ありがとうございました。
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