没後120年 ゴッホ展
こうして私はゴッホになった
の 感想文
平日10:30-12:30くらい。一方通行になっていたらあきらめようかと思ったが、さほどでなかった。会場内をうろうろ、7回くらい行ったり来たり。
「曇り空の下の積み藁」1890年 空の青がきれい。一番初めに目を引いた。最晩年の作品ですが、初めの方に展示されていました。比較のためとのこと。 ぐるぐる見てから戻ると、なるほど黄色の効きが良くて、ゴッホがゴッホになった後に描いたことが分かる。
素描たくさん。模写たくさん。ゴッホはミレー大好き。 真面目。がんばってる。でも、オリジナルより上手、と言えるものが見当たらない。 人物はたいてい頭でっかちでバランスが悪い。童話の挿絵のようだ。 狙っては作れない独特のゆがみ。
「炉端の少女」1881年
「麦藁帽子のある静物」1881年 麦藁帽子がいい感じ。ゴッホ麦好き。
「木こりたち」1883-84年
「籠いっぱいのじゃがいも」1885年 光の加減か、じゃがいもが光って見えた。粋な演出か。ただの偶然か。 とにかくこの絵はかっこよかった。 ゴッホはじゃがいもも好き。
「ビールジョッキ」1885年 なんだか可愛い。円筒だからか。ビール苦手だけどこのジョッキで何か飲みたい。
「じゃがいもを食べる人々」1885年(リトグラフ/網目紙) じゃがいも本当に好きだなあ。本画を見てみたい。
「カフェにて」1887年 「テーブルの若い女(白粉)」1887年 アンリ・ド・トゥルーズ=ロートレック ロートレックと並べちゃうとゴッホがかわいそうだ。いっしょけんめいがんばってるけど子供っぽさが隠しきれない。洗練から遠い。パリじゃモテなかったろうなあ。日本だったらありですよ。なんの慰めにもならんか。
「セーヌの岸辺」1887年 指紋つき。指紋で埴輪を思い出す。埴輪にも指紋が残っているものがある。
「バラとシャクヤク」1886年 好き。こういう色。ゴッホの色じゃないけど。一輪だけ黄色なのは目覚めの予感か。 正直どれがバラでどれがシャクヤクかわからん。知りたいわけでもないけども。
「マルメロ、レモン、梨、葡萄」1887年9-10月 黄色に目覚めた。分かりやすいよゴッホ。行ってみるもんだねパリ。 『黄色い静物画』とゴーギャンが言ったのは称賛と思いたい。 額も自分で黄色に作ったゴッホ。この模様は何だろう。
「じゃがいものある静物」1888年 明るさを感じる。目覚めの前のじゃがいもと違う。何より黄色。ドラクロワ大好き。
「アルルの寝室」1888年 明るい。寝室だって言ってるのに明るい。寝られない。もうゴッホ興奮しすぎ。ユートピアに興奮しすぎ。
「野原と家」1888年 太陽がやっぱり子供っぽいけど明るくてしっかりした感じ。
「ゴーギャンの椅子」1888年 鮮やかな緑の背景。でも重たくない。椅子、例によって歪んでる。画面に入りきらない。入れようなんて計算はしないのか。できないのか。できないと見た。本、ろうそくの火、床、壁のランプの灯。もちろん椅子にも黄色。青は黄色のための色。黄色大好き。ゴーギャンのイメージ、ゴーギャンの塗り方で。ゴーギャン大好き。
「あおむけの蟹」1889年1月 耳切り事件の翌月にひっくり返った蟹なんか描くなよ。しかもゴーギャンの椅子と同じ緑バック。ゴッホ。わーん。
「タマネギの皿のある静物」1889年 机の上に色々載せすぎ。机のまわりもぎゅうぎゅう。そんなにさみしいか。さみしいか。がんばれゴッホ。
「ポン=タヴェン付近の風景」1888年 ポール・ゴーギャン 「ブルターニュの少年と鵞鳥」1889年 ポール・ゴーギャン ほらゴッホ、ゴーギャンだよ。 涙が出て困る。
「サン=レミの療養院の庭」1889年 でもゴッホには黄色がある。黄色めがけて一直線。
「草むらの中の幹」1890年 木の根元に生える黄色の小さな花。
「アイリス」1890年 黄色の背景のためのアイリス。
「麦の穂」1890年 黄色の穂。
いいぞ。いいぞゴッホ。その調子だ。 どうした。どこへ行くんだ。まだだ。まだ行くな。行くなゴッホ。
大好きなものいっぱいあったのに。
土地や人の影響を受けまくってぐらぐら。 素直だけどかんしゃく持ちの子供。 耳と一緒にゴーギャンもユートピアも切り落として自分にたどり着いたと思ったら死んじゃった。 さみしかったのか。ぐらぐらしてた方がよかったか。
そんなゴッホに影響を与えた人の作品も一緒に並んでいたのがよかった。 ゴッホにしてはおしゃれと思ったらやっぱりゴッホじゃなかった。 ゴッホにしては細かく描き込まれていると思ったらやっぱりゴッホじゃなかった。 ゴッホにしては女性的と思ったらやっぱりゴッホじゃなかった。
えっこれゴッホじゃないのと思ったのはモネの絵でした。
どうも武者小路実篤と被る。上手いとは思えない絵を自分の道と信じ込んでいたり、ユートピアに夢中になったり、でも挫折したり。と思ってちょっと調べたら、日本にゴッホを初めて紹介したのは武者だったらしい。なんと。
実篤は、ゴッホの詩も書いています。
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2010/10/31更新
2012/02/07追記
会場│国立新美術館(東京・六本木)
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