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大刀 古墳時代の出土品の中でも注目の大刀。 金属製の大刀はもちろん、大刀形埴輪もあります。
大刀形埴輪は、細長い円筒形。柄(つか)が上。 柄に、護拳部となる湾曲した板がつきます。 護拳部は三輪玉や鈴などで飾られています。 |
大刀形埴輪 [瀬戸ヶ谷古墳出土] (東京国立博物館所蔵)
果たして切れ味は |
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大刀形埴輪は、かつては消火器形埴輪と呼ばれていたそうです。
なるほど。大刀と知らずにこの埴輪を見たら、消火器だ。
のち、藤ノ木古墳などから護拳帯つきの楔形柄頭(くさびがたつかがしら)大刀が出土し、
これに似ていることから大刀をかたどった埴輪と判明したそうです。
鞘尻が表現されたもの、鞘に盾や刀子がついたものなどもあります。
片刃の大刀か両刃の剣か。
群馬県太田市の塚廻り4号墳(帆立貝形古墳)から出土した大刀形埴輪は、片側を細く表現しています。
片刃なので、大刀形埴輪です。
分割成形されており、円筒に大刀部分が乗ります。高さ131.2pと最大級。
熊本県和水町の清原古墳群から出土した埴輪片はむき出しの刃の断面が菱形です。
両刃なので、剣形埴輪です。
埴輪の大刀には、単体の大刀のほか、人物埴輪が身に着けている大刀があります。
よろい姿でない人物が大刀を持つことも。
大刀の種類は、わかったりわからなかったり。
大刀を持つ人物埴輪はほとんどが男子ですが、
頭椎大刀(かぶつちのたち)を持つ女子埴輪が、太田市塚廻り4号古墳から出土しています。
2008年に群馬県立歴史博物館でお会いしました。
そのときは大刀よりも、
胸のリボンがけっこう薄手に作られているなあ、首飾りや線刻が繊細だなあ、彩色がいいなあ、そういったものがよく残っているなあ、という印象。
彼女は甲冑を身に着けていないのでした。
今城塚古墳からは、楔形柄頭の大刀形埴輪のほか、柄頭が楔形でなく上端が開放されている大刀形埴輪も出土しています。
今城塚古墳からは、楔形柄頭の大刀形埴輪を佩く男子埴輪も出土しています。
眉庇付冑や挂甲を身に着けています。
金属製の大刀の最大のポイントは、銘でしょう。
文字情報の少ない古墳時代の貴重な手掛かりです。
銘に次ぐポイントは、バリエーション豊富な柄頭でしょう。
環頭大刀、円頭大刀、方頭大刀、圭頭大刀、頭椎大刀(かぶつちのたち)、そして楔形柄頭の大刀。
伊勢神宮の「玉纏大刀(たままきのたち)」は、
護拳帯つきの楔形柄頭大刀の流れをくむ大刀のようです。
ちなみに、「大刀」は反りのないまっすぐな直刀、
「太刀」は反りがある弯刀(わんとう)を指すらしいです。
どちらも「たち」と読みます。
古墳時代の刀は直刀なので、大刀。
2012/01/26up
2018/05/28更新