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吉備器台(特殊器台)
赤く塗られ、巨大化した器台。高さ1m超えもあり。 吉備壺(特殊壺)とセットで、吉備地方で多く出土。弥生時代末のものらしい。 口縁部と脚部が外側に張り出しています。 吉備壺をしっかり乗せて、足で踏ん張る吉備器台。
埴輪は踏ん張りません。 吉備器台は置かれるべく作られ、埴輪は脚部を埋めて立てるべく作られたのでしょう。
吉備器台から都月型円筒埴輪が生まれた、と考えられているようです。 また、吉備壺と吉備器台とのセットから朝顔形円筒埴輪が生まれた、という説も有力。 |
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2012/08/19up
最古のタイプの埴輪と言われている都月型円筒埴輪(特殊器台形埴輪と呼ばれることもある)は、
文様や透かし孔などのデザインが、吉備器台に似ていますが、ややあっさり。
ちなみに、箸墓古墳や西殿塚古墳では、吉備器台と都月型円筒埴輪の両方が出土しています。
配置した時期が違うかもしれないとの説あり。
埴輪へ突き進む前の躊躇か。
古墳時代という時代は、
律令国家の夜明け前。
大和政権が勢力を広げつつある時代。
まだ地域性が色濃く残っていた時代。
埴輪にも地域色が現れています。
そんなわけで
埴輪の起源は一つではなく、各地で異なるのでは、という説もあるようです。
ルーツは一つじゃない 近道 まわり道 けもの道
道草
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だとすると
「吉備器台→円筒埴輪」説も、
「吉備壺→壺形埴輪」説も、
「吉備壺+吉備器台→朝顔形円筒埴輪」説も、
起源説のうちの一つということになります。
いずれ、新説が発表されるかも。
吉備壺(特殊壺) |
吉備器台と一対一で出土していることから察するに、吉備器台の上に乗っていた。
底に孔があけられています。多くは焼成した後に穿たれたようです。
胴部には孔がありません。
首が長く、口縁は二重になっています。 上の口縁よりも下の口縁が外側に突き出ているもの多し。 胴部はタマネギやそろばん玉のような形で安定感あり。 一番張り出している部分に、樽や桶のタガのような突帯が、二〜三条ほど巡っています。
突帯は特殊器台に乗せたときに、かみ合うような位置に付けられているようです。 文様のデザインも、吉備器台と調和するように作られています。 ツーピースのセットアップもの、カップとソーサー、ということですね。
壺形埴輪の元型、との説あり。
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「特殊器台」「特殊壺」という名称について |
魅力的な出土品なのに この名前は非常にもったいない。 必ず、特殊って何? となってしまう。分かりにくい。 かなり損をしていると思うのですが 「とくしゅきだい」「とくしゅつぼ」 しゅ しゅ しゅ 「朱色」にかけている? かけてないだろうな…
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新名称を考えよう。
装飾器台、というと別のものを指すらしい。
巨大器台。巨大壺。 大型だけど、巨大というほどではない。 といって、大器台と大壺、ではだめだろう。
華美器台。華美壺。 字面は突帯が多めな見た目とつながる。 音がちょっと悪いな。
朱色器台。朱色壺。 他にも赤い器台や壺はある。
朱大器台。わかりやすくはある。 朱大壺。壺はほかの壺と比べてそんなに大きいわけではないのよね。
「吉備器台」「吉備壺」
これどうでしょう。 キビキダイ。キビツボ。 キビキ。キビキビ。いい響き。 キビツ。吉備津彦もいることだし。
どう? ダメ?
ともかく埴子は 「吉備壺」「吉備器台」を推します。
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関連の参考サイト・参考文献 |
特殊な壺と器台(岡山県古代吉備文化財センター)
近藤 義郎 1983『前方後円墳の時代』 岩波書店
近藤 義郎2001『前方後円墳に学ぶ』 山川出版社
近藤 義郎2001『前方後円墳と吉備・大和』吉備人出版
近藤 義郎2002『楯築弥生墳丘墓』吉備考古ライブラリィ・8吉備人出版
福本 明2007『吉備の弥生大首長墓・楯築弥生墳丘墓』シリーズ「遺跡を学ぶ」034新泉社
右島 和夫、千賀 久2011『古墳時代 列島の考古学』 河出書房新社
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2014/06/23追記
2014/07/04追記・修正
2015/01/04追記・修正
2018/03/03追記・修正