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日本美術院再興100年 特別展 世紀の日本画(後期)

於・東京都美術館

 

 の目撃談 (201406)

 

 

後期もやっぱり見ておきたい。

ここまできたら「日本美術の祭典」ぜんぶを見ておかないと後悔しそう、というのもある。

でもそれ以上に、何かよいものが見られるだろう、という確信に近い期待があった。

行ってよかったですよ。

 

 

《龍虎図屏風》橋本雅邦 1985

画面がしっかり埋まっている。力が真っすぐ伝わってくる。

龍虎はもちろん、竹も雷も波も雲も岩もしっかり描かれている。色も明快。

でもうるさい感じはしない。バランスがよいからか。雅邦の性格か。

 

発表当初は、虎の体勢が力が抜けたようだとの批判があったらしい。

ポーズをしのぐ何かを感じさせるから、かまわないんじゃないでしょうか。

おおっ と圧倒するものがあるかどうか。これにはある。

 

でも確かに、虎二頭のうち、左下の全身が見えない虎のほうが、なんとなく好き。

 

龍は一匹しかいない。いや一頭?

ともかく単独の生き物なのかしら。群れない印象がある。

架空の生き物の生態と数詞の謎。

 

 

《屈原》横山大観1898

失ったものの多さ。手にしたわずかな草も飛ばされそう。はかない。

無念。絶望の手前に立っている。

右下のわるそうな鳥の目つき。

 

 

《門》奥村土牛1967

画面に対し、門が真ん中ではない。

そして、門と、その向こうに見える壁の穴との位置関係。絶妙。

いちど山種美術館で見ました。その時も印象がはっきりあった作品。

参考感想文 開館記念特別展W 生誕120 奥村土牛

やっぱり土牛はいいなあ。

 

 

 

院展の再興。

それは自由研究。

すなわち教師なし先輩あり。教習なし研究あり。

道は己で創る。

 

 

 

《小春》木村武山1914

目を引いた。はっきりした線の描写。色合いは淡くくすむ。

硬軟の度合いがちょうどよい。

 

 

《背を拭く女》藤井浩佑1926

彫刻。背中からの曲線。

この作品は、背中を正面に向けて展示してもいいんじゃないか。

横に回って背面を見られますが。

 

 

《芥子図屏風》前田青邨1930

枯れはじめた葉もちらほらしている。

 

 

《虫魚画巻》小茂田青樹1931

絵巻物。

広げられているのは四つの場面。鯉と金魚、灯に集まる昆虫、鰻とどじょう、軒下の蜘蛛。

黒地がよい。灯に集まる昆虫。

銀地もいいけれど。

鰻とどじょうはモチーフのせいかコミカル。

 

前期展示の夜の蜘蛛がいちばん好きですが、画巻の全部を見ることができて満足しました。

 

 

《熱国之巻(熱国之朝)》今村紫紅1914

紫紅の見た熱国。

その国に住む人とは違う次元から見た国。

異邦人にしか見えないものがある。

 

 

《道産子追憶之巻》岩橋英遠1978-82 8

これはあまり来なかった。

この横長サイズがこの人に合わないのか。

思い入れが強すぎるのかも。

一歩引いた冷静さが描き手にないと、見るほうが引く。ついていけない。

伝わらないとどうしようもない。

と思うが、それでもいいのかなあ。

見る人を選ぶのかも。となると、わたし失格だわ。

 

前に見た《土》がよかったので、名前を覚えていたのですが。

参考感想文 「『日本画』の前衛 1938-1949」展

本展では、前期の《神々とファラオ》のほうがよかった。

やはり異邦人の目線が必要なのか。

 

 

《絲綢之路天空》平山郁夫1982

やはりいい。熱とか光とか、土とか砂とか、感じる。

山がよい。美しい。

 

が、この屏風を完全に開いて展示ってできない? ダメ? 邪道?

でも全部平面にして見てみたいのよ。

 

 

《北岬》大矢紀1976

これはいいですね。

船が存在で語る。

 

 

《緑扇》中島清之1975

竹林の葉の重なり、隙間。

線と色。光と影。生と死。

オールオーヴァーのようで少し違う。

画面全体がよい。

後期いちばん。

 

 

ところで

この展示ケースのカバー、ゆがんでませんか?

前期はたぶん中村岳陵の《婉膩水韻》が展示されていたところ。

どちらも初めは屏風がゆがんでいるのかと思った。まさかね。

他のケースはそれほど気にならなかったのですが。

直せるものなら直してほしい。

 

カバーといえば、けっこう汚れている。手や顔の跡だろう。

近寄って見たいと思う気持ちは一緒。

そして、混んでいて、そうそう拭き掃除もできなかろう。

仕方ないか。

 

 

《ペルシャ門》下田義ェ1977

イメージの重なりが次元の重なりとなる。

やりすぎないバランス、センス。

 

 

 

岩絵の具など、日本画の画材も展示されていました。

が、油絵もいくつか展示されていました。

 

揺れる日本画。

 

 

追われ

立ち上げ

休止し

再興して

100年。

日本美術院。

 

と考えると、いったん休止状態になったものが、よく100年続いたなあ。

 

 

  

 

今回の特記事項

 

この展覧会は、2014年春の「日本美術の祭典」という企画展3つのうちの1つ。

 

・「クリーブランド美術館展」

・「人間国宝展」

・「世紀の日本画」展

 

「世紀の日本画」展は、前期と後期で作品を総入れ替え。

つまり、展覧会は実質4つ。

 

 

 

こまかいことだけど

この企画に限らないけど

「展」まで展示タイトルに含まれるものと、そうでないものがあって、ごちゃつく。

このコンテンツのページを作るとき、いつもちょっと気になることです。

いろいろ理由はあるのでしょう。

  

  

 

混雑状況報告。

チケット売り場も会場内も、行列ではない。

会場内はそこそこ人がいました。入口近くは、うわっと思うくらい。

それでも、気に入った絵を独占できた時間はありました。短いですが。

絵巻物も、わりと人の流れがよいので、おとなしく並んでいると、ちゃんと見られます。

 

 

再入場不可。

ですが、もう一度見たい人は、ショップ通ってから地下1階の出口の手前で入口に戻れます。

案内の表示あり。

 

3周。

やはり上下移動が煩わしい。

が、前期見て会場になれたせいか、解説をはしょったりしたせいか、するするっと見れました。

観客全員が要領よくなっているのかも。

 

 2014/03/12(水)11:45-13:00訪問 

  

さて

ここはどこでしょう

 

あのまるいやつ…

なんだか どこかで見たような

 

あのエスカレーター

 いつか 降りて行ったことがあるような

 

見おぼえがあるはず

トビカン の中のトビカンさ

2012年リニューアルオープンした東京都美術館 の模型さ

 

 

 このページの画像はすべて、上記館所蔵もしくは展示の作品などを、埴子が撮影したものです。

 2014/03/13up

 

 

会場|東京都美術館

会期|[前期] 125日(土)〜225日(火) [後期] 31日(土)〜41日(火)

 

   

  

    

 

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