ブリヂストン美術館テーマ展示
描かれたチャイナドレス ─藤島武二から梅原龍三郎まで
の目撃談 (2014の14)
テーマ展示
本展一番は、いちばん最初に展示されていた作品。
藤島武二《匂い》1915年 東京国立近代美術館蔵 淡いピンクと青緑。 チャイナドレスや花や花瓶やテーブルや背景。 少し冷たい雰囲気の二色に、ひきしまった女性の顔。 調和した画面全体、すっきりしたかっこいい美しさ。 このモデルはどの国のどういう人だろう。
これは実物を見にきて良かった。 チラシやポスターやサイトの画像より、はるかにいい。
この絵の前ではすこし時間をとりたい。 となるとトップバッターに展示するのはどうか。 でも時代的にはこの作品が最初なのよね。だから、初めに持ってきたのよね。 幸か不幸か、人が殺到するような展覧会じゃないから、入口は混みあってなかったけど。
ちなみに香水瓶は青と赤。これはつくりすぎと思いました。
今回は見れなかったけど《黒扇》(1908-09年)といい勝負だ。 絵一枚の強さなら《匂い》、女性像としてなら《黒扇》かな。
それにしても、フランスとイタリアに留学して、なぜ中国に目覚めたのか。
藤島武二《女の横顔》1926-27年 ポーラ美術館蔵 これもよかったけど、《匂い》ほどではない。 背景はどこだろう。
児島虎次郎《中国の少女》大原美術館蔵 児島虎次郎《花卓の少女》1926 高梁市成羽美術館蔵 花卓、構図はいいけど狙いすぎ。そこはいやだが、少女のまなざしで全部カバーできている。
久米民十郎《支那の踊り》1920年 個人蔵 丸い敷物の奥行きとか、すこしおかしいんだけど、そんなことがどうでもよくなる。 後ろの壁の絵は何だろう。
安井曾太郎《金蓉》1934年東京国立近代美術館蔵 女性。女性だ、とにかく女性だ、という感じが濃厚。服より顔の印象が前に出てくる。 画家よりモデルの存在を強く感じる。
三岸好太郎《支那の少女》1926北海道立三岸好太郎美術館蔵 三岸好太郎《中国の女》1927-28年メナード美術館蔵 ちょっとひやっとするような、不安定さを感じさせる絵。だからこその引力か。 岸田劉生に影響を受けたらしいが、劉生の絵に不安定さは感じない。やや不気味ではあるが。 どちらも30代で早世してしまった。そんなところが似てしまった。
中国服も展示。 異様に袖の長いものが気になった。指先まで隠れる長さ。どうしてあんなに長いんだろう。 指のないマネキンの手先、不思議な面白さがある。不気味ではない。
モデルが日本人とか、チャイナドレスが日本製とかに目をつぶっても、 これ中国? というような違和感がある。 しかし、海外の人から見た日本は、場合によってはだいぶ事実と違う。 逆も同じか。 1910年代から40年代。今ほど情報も得やすくない時期。 そもそも「チャイナドレス」が和製英語だそうな。 ずれは仕方がないか。
それでもやっぱり異邦人でなければ開けない突破口がある。 地元民の現実と、異邦人の創作。 過去の影が色濃い現在と、過去を知らない未来かな。
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コレクション展示
並んだルオーを眺めることができてラッキーでした。 ジョルジュ・ルオー 《郊外のキリスト》 1920-24年, 92.0×73.6cm, 油彩・紙 特にこれ。何度見てもいい。 展示の仕方で作品は違って見えるが、今日もよかった。 ということはほんとうによいのだろう。
菅井汲 《OKA》 1961年, 99.7×81.3cm, 油彩・カンヴァス なんとなくよかった。
コレクションが充実していることを存分に活かしている美術館。
折しも(2014/06/28)、 2016年秋、石橋美術館(福岡)の収蔵品960点がブリヂストン美術館(東京)に移管される というニュースあり。
関連の展覧会が開かれるか。
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ミュージアムショップ
図録はちゃんと見なかった。 石橋財団のコレクションについての本を少し見た。タイトル失念。 藤島武二に惚れこんで、口説き落とした石橋正二郎。 いったん譲ってもらった作品を「さみしくて寝られないから返して」と武二に言われ、返す正二郎。
藤島武二の本があまりない。 前に図書館で見た新潮日本美術文庫くらいか。もう少し収録数が多いといいな。
この人の手ごろな画集とか解説本があってもいいのに。 色が出せないのは仕方ないとして、 どういう作品があるか、とか、所蔵館とか、そういったリストとして欲しいところ。
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混雑状況報告。 ほどよい感じ。 一部屋に3-4人というところ。
テーマ展示は2往復。 コレクション展示は一期一会。
2014/6/26(木)11:30-12:30訪問 |
このページの画像はすべて、上記館所蔵もしくは展示の作品などを、埴子が撮影したものです。 |
2014/06/29up
会場|ブリヂストン美術館 会期|2014年4月26日(土)〜2014年7月21日(月)
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