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企画展 ハニワの世界

 及び 常設展示

於・埼玉県立さきたま史跡の博物館

の目撃談 (201420)

 

 

企画展示室。

ここは撮影不可。

 

一室のみの展示とはいえ、展示数は期待以上。

ほぼ完形の埴輪だけでも30体以上。

埼玉の埴輪、特に、特徴的な姿の人物埴輪が選ばれ集められている。

武人や巫女はもちろん、盾持ち、力士、琴弾きなど、人物埴輪の種類を網羅しています。

華やかさも期待以上です。

 

展示室中央の島に直置きされているのは、馬と馬子のコンビ、三組。

しかしどの組も出土古墳が違う。

平成の今、ここにきて、組み換えか。

 

それはともかく、このなかで印象に残ったのは

「馬をひく埴輪」(熊谷市北島遺跡第19地点1号墳出土)

勢いよく横に切って、少し斜めになった口の馬子。

下げ美豆良なのね。ということは美豆良の上げ下げで身分の判断はできないのね。

 

手綱は、さすがに粘土では表現できないか。

 

馬は額から突き出した棒のような飾りが目立ちました。

あとは鈴がころころたくさんついていました。

 

かつて写真を見て、とても魅かれていた埴輪がありました。

「棒を持つ女性埴輪」(伝深谷市四十坂出土)

ようやく会えたわ。

いい色。

けっこう大きい、というか高さがある。79.5cm

注目を浴びるためには、高さは重要。

円筒部分の外直径は15cmくらいか。

頭が大きく腕が短い、埴輪らしいプロポーション。

半分とじたような目。小さめの口。

角度を変えてじっくり見る。表情がさまざまに変わる。

 

変化を見ていると、埴輪の顔は目と口が細い方がいいように思う。

そして作為は少ない方がいいように思う。

  

ところで、持っている棒、いったいなんなのか。

長らく議論されてきたようです。

カスタネット的に打ち鳴らす楽器「四ツ竹(よつたけ)」説と、

神事や舞いのときに持つ「採物(とりもの)」説があるものの、

いまだ結論がでていないようです。

謎はいつか解けるのか。

 

ちなみにこの埴輪、古い写真では長瀞総合博物館蔵となっていました。

本展ではこちらの所蔵になっていました。

行きたいと思っていた長瀞総合博物館がいつの間にか閉館してしまい、

所蔵品はどうなったのか気にしていたところでした。

さきたまに来たのね。埴輪は全部かしら。

 

「島田髷を結う女性埴輪」(深谷市小前田9号墳出土)

これも見たかった。

前後に円筒を一つずつ寝かしてくっつけたような髷。

本体に対して大きく立体的。でもさほど写実的ではなさそう。

髷もさることながら、顔。

丸い輪郭。粗くつけた眉。横長の目。

鼻を修復したあとが目立つのもかえって魅力。

 

「笑う埴輪」(出土地不明)

大きく上がった口角の左に小石。

こんなにはっきり笑っている埴輪はそうないが、小石がはめこまれているのはさらに珍しい。

これもかつては長瀞総合博物館蔵。

 

 

再会の埴輪も多し。

「笑う女性埴輪」(本庄市前の山古墳出土)

なかなか印象強い埴輪だったので覚えている。本庄市立歴史民俗資料館の企画展。

参考 「瓦偶人あらわる」 ― 本庄はにわ大集合 ― の目撃談

 

はにぽんのモデルになった笑う盾持ち人埴輪と同じ古墳から出土。

顔、似てます。この女性埴輪のほうは困り笑いだが。

高さ103cmと大きい。

髷も大きい。大きいが扁平。

耳玉がいっぱい。

 

頭を大きくしたり、髪形を特徴的にしたり強調したり、

目立たせるには、上端部の工夫が効果的だということか。

確かに、目に飛び込んでくる。

 

「貴人埴輪」(鴻巣市生出塚埴輪窯跡)

「ちぢれ髪の男性埴輪」(鴻巣市生出塚埴輪窯跡)

「鈴鏡を腰に下げる女性埴輪」(鴻巣市生出塚埴輪窯跡)

クレアこうのす」内の 歴史民俗資料コーナーで撮影済みの彼ら。

 参考 「クレアこうのす」の目撃談

 

「貴人埴輪」は北区飛鳥山博物館の企画展でも見ている。

参考 赤羽台古墳群に眠る人々の埴輪目撃談

もう4回くらい会ってるかな。

 

顔や下げ美豆良に赤い彩色。これだけでも十分目立つ。

131cmと恐らく本展最高身長。

長い腕や足は、埴輪のイメージを覆して広げる。

しかしこの埴輪の最大の注目ポイントは、チェックのはかまでしょう。赤と地の色の市松模様。

昔も今も、目を引くことこそ埴輪の使命、身上。

出張の多い彼は、本展でチラシや図録の表紙センターを務めています。

派手さだけでなく、何か言いたげな表情が抜擢の理由か。

 

「ちぢれ髪の男性埴輪」は図録の裏表紙に登場。

彼もいい顔。

 

鶏形埴輪、少しタイプの違うものが並べられていました。

実物の写真もありました。

鶏の耳って、そうなってるのね。そして埴輪ではこうなってるのね。

会場でご覧ください。

 

ほか、埴輪が登場するタバコPeaceのパッケージや切手などもあり。

 

 

大満足です。来てよかった。

 

 

 

国宝展示室。

 

こちらは撮影可能です。

どの埴輪もケース入りなので、うまく撮るのはなかなか難しいですが。

 

国宝を含めたさきたま古墳の出土品を中心とした品々が常設展示されています。 

国宝に指定されているのは、稲荷山古墳の埋葬施設から出土した

金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)、ヒスイ勾玉、銀のイヤリング、画文帯環状乳神獣鏡、帯金具。

 

 

鉄剣 越しの埴輪

 

国宝以外でも、将軍山古墳出土の希少な馬用品は必見。

鉄カブト、馬冑(ばちゅう)。

鞍に旗ざおを付ける(だこうじょうてっき)蛇行状鉄器。

  

もちろん埴輪も。

 

 

さきたまの各古墳から集合した円筒埴輪

 

円筒さまざま。

 

なかでも目立つ

 

須恵質埴輪壺

 

もはや円筒ではないが、配置は円筒埴輪と同様だったらしい。

この埴輪は修復部分が多いせいか、透孔が見あたらなかった。

他の円筒埴輪より

 

稲荷山古墳出土の円筒埴輪

 

正面から見るとよく似ているが

 

横顔は違う

 

 

稲荷山古墳の埴輪の特徴の一つ

紅組と白組がある

 

この二体の朝顔形円筒埴輪の場合、背丈はだいたい同じ。形はちょっと違う。

 

組は二つより多くあるらしい。

埴輪の作られた工房や時期などが違うらしい。

 

武人頭部

 

鋲を打った冑、顔の赤い顔料など、頭部だけでもかなりの情報量。

 

巫女二人

 

赤い巫女と白い巫女、それぞれの衣装。

 

瓦塚古墳出土の埴輪チーム

 

瓦塚古墳は埴輪が豊富。

 

冑をかぶりよろいをつけた埴輪の足、裸足に見える。

しかしここまで武装していて、裸足ということがあるのか。

あるかもしれない。昔の人はたいてい裸足だったそうな。

 

女子埴輪で足があるものは、みんな裸足だ。

 

考え深げな馬

 

さて

きりっとした目もとの、これは…?

 

しっぽが

くるりん

 

犬です

 

 

たくさん見せていただきました。

 

でも

さきたまには

まだまだなにかがありそう…

 

さきたま古墳群のさらなる発掘が待たれます。

 

  

 

おみやげ

 

 

鉄剣鉛筆

 

裏表に銘が刻まれている。

側面には「埼玉県立さきたま史跡の博物館」とある。

さきたまの金錯銘鉄剣の存在をさらに強く知らしめる、これはなかなか良いグッズです。

 

二本セット 100

一本と消しゴムのセットもあり。

 

鉄剣鉛筆 しおりにのせて

 

さすがにこのスペースに115文字は刻めないようで、抜粋です。

でもキーワードはちゃんと刻まれてますから。

 

断面。

 

角のとれた長方形

 

やや使いづらいでしょう。

その前に、この鉛筆を使うには、勇気がいる。

文字を書けば書くほど、文字が消えていく。

歴史を書きかえろってこと?

 

ところで、鉛筆の濃さが書かれていない。

やっぱり使って確かめろって?

 

 

図録 500

 

埼玉県の埴輪カタログ。本目撃談の参考文献でもある。買いです。

 

展示埴輪すべての写真が載っているわけではないのね。

反対に、埴輪一体につき、角度のちがう写真が二枚掲載されているものもある。

そして写真がいいものと、今ひとつのもの。

 

埴輪それぞれの特徴を、もう少しはっきり写した写真があったら良かった。

小石の歯とか、手に持った棒とか、筒袖の袖口とか。

とか言ったらぜいたくですな。

 

付編として、さきたま古墳群出土の埴輪の解説や写真もあります。

 

 

  

 

混雑状況報告。

空いています。

団体さんとかち合わなければ、とっくり見られます。

 

企画展示室と国宝展示室をそれぞれ2周。 

 2014/10/16(木)13:10-14:30訪問 

  

なんと

埴輪に夢中になっているうちに、帰りのバスの時間が来てしまった

さきたまに来て古墳を見ないとは

 

今回は二度目の訪問

前回は古墳に登ったのですが

 

みなさま

時間と体力をご用意ください

 

 このページの画像はすべて、上記館所蔵もしくは展示の作品などを、埴子が撮影したものです。

 2014/10/18up

 

 

企画展  ハニワの世界

会場|埼玉県立さきたま史跡の博物館

会期|20149 20 日(土)〜1116()

 

   

  

    

 

このまえの目撃談 (201419)

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