コレクション展 ベスト・オブ・ザ・ベスト
の目撃談 (2015の03)
前期(2015/03/11)と後期(05/15)、1回ずつ訪問しました
1回目、2015/03/11。(前期)
よいものはよい。 好きなものは好き。 何度でも見たい。
エドガー・ドガ《レオポール・ルヴェールの肖像》1874年頃 ひげのやわらかさ。触りたい。 うさぎの毛皮みたい。
クロード・モネ《雨のベリール》1886年 海の下に、あのピンク。
ギュスターヴ・モロー《化粧》1885-90年頃 ガウンの裾が青海波。ウロコみたい。人魚姫みたい。
エドゥアール・ヴュイヤール《鏡の前》1924年頃 水色のドレス、腰から下がっている飾りが気になる。
藤島武二《黒扇》1908-09年 これが展示されている部屋に入ろうとしたら目が合った。 やっぱり一番。 黒い扇だけど青の効かせ方がすてき。
山下新太郎《供物》1915年 なぜか何度か目がとまった。
安井曾太郎《薔薇》1932年 これ前に見たっけ。 ともかく今日、よさが感じられる。 派手な花瓶に負けない花。背景の、艶のある黒、赤、構図。
都合により展示されていなかった、アンリ・ルソー《イヴリー河岸》1907年頃 どうしちゃったのかしら。 代わりに後期登場予定の作品が早めに登場。 アンリ・ルソー《牧場》1910年頃 見返りの牛2頭や草にだいぶヒビが入っている。 イヴリー河岸もこういう感じなのかしら。大丈夫かしら。
アンリ・マティス《コリウール》1905年 これも初めて見たかも。とてもチャーミングだ。 特に白い丸になっている人の頭。淡い明るい色の組み合わせ。でも力強い筆の運び。 新・お気に入り。
ジョルジュ・ルオー《郊外のキリスト》1920-24年 道の両端に並ぶ家の窓と入口、どうしても顔に見えるが、あまり怖くはない。 何か歌っているようだ。きっと讃美歌だ。
アリスティド・マイヨール《欲望》1905-08年 枠があることによる効果。 枠いっぱいの欲望。
きりがないのでこのへんで。
かつてブリヂストン美術館で開催された展覧会の記録。写真や映像や図録、ケース内に展示。 ちょっとだけ眺める。 1967年の藤島武二展の図録、欲しいなあ。
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再訪問、2015/05/15。(後期)
リニューアルのための休館まであと3日。 武二の黒扇をもう一度見ておきたい。 休館中は、他の展覧会などに貸し出すこともあるのでしょう。 ですが、自分がそれを見られるとは限らない。
ピカソ 《女の顔》 《腕を組んですわるサルタンバンク》 《茄子》 《画家とモデル》 《ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙》 東京ステーションギャラリーでもピカソを見てきたところなので、ピカソは白の人だと確信する。 《馬》も白馬だ。
ポール・セザンヌ《鉢と牛乳入れ》、《帽子をかぶった自画像》 改めて、いまさらながら、セザンヌっていいなあと思う。
ルオー《郊外のキリスト》 やはりいい。この作品に見入る人多し。いや、どの作品にもファンがいるんだけど。
藤島武二《黒扇》 展示位置が変わっていた。部屋の隅になっていた。 《天平の面影》と角でつながるようにしたのかな。 人が多い上、この位置では独占は無理だわ。人気ももちろん高いから、しかたないか。
再訪して良かった。 2階の展示を見て、階段を下りて、 1階の「歴史展示コーナー」の過去の展覧会ポスターを年代ごとに展示したポスター塔を見る。
おや あれは まさか いました埴輪 なんとなんと
息をのんでしまった。 ブリヂストン美術館のサイトで確認すると、 「日本の美 はにわ展」 1958年6月10日-1958年7月19日 という情報がありました。 ブリヂストン美術館にしては特殊な展示。
もう一度やってくれないかな。
藤島武二展とスピリアールト展も、また開催してほしい。
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2015/03/115の混雑状況 中にも外にも行列はなし。 どの絵も、独占可能。 部屋の独占は、無理。
2015/05/15の混雑状況 GWからこっち、行列ができているとの話。とりあえず向かう。 13時前後、ビル外に入館券を求める人びとの行列。 自分は招待券を持っていたので、入館はすんなりでした。 展示室内はどこも混んでいました。 でも列になって見るわけではなく、各自自由に回れました。 絵によっては、数秒なら独占可能。 映像コーナーは、2階も1階も数人。空いた席があることはある。
人が多すぎると、人をよけることと見ることでいっぱいになるせいか、 鑑賞ルートが分かりにくくなってしまうことが分かった。 ここまで混んでいない時なら、この美術館で混乱することはそうそうないのですが。
それでも、見る価値はある。見に行きたいと思わせる作品がある。
並んで入館した人たちは、リニューアル後に再訪することでしょう。 そうしたら、作品や展示だけでなく、美術館のどこが変わったのかを確かめる楽しみもある。
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2015年5月18日より、ブリヂストン美術館は休館して新築工事に入るそうな。
回廊型、じゅうたん敷きと板張りを使い分けるなど、とてもうまい作りの見やすい美術館。 どう変わるのでしょう。
今現在、一つ難があるとしたら、天井が低いことかな。
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コレクション展 ベスト・オブ・ザ・ベスト 会場|ブリヂストン美術館 会期|2015年1月31日(土)〜2015年5月17日(日)
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2015年、今年もいいものたくさん見た。
時は流れる。ふと振り返る。 ベスト・オブ・ザ・ベスト展の特別な空気がよみがえった。
はやる心で受付を済ませ、いそいそと2階へ上がる。 展示室の人波の中へ潜り込む。 一通り見て、もう一度見て、お気に入りはじっくり見た。 じゅうぶん見せてもらった、と思いながらも、立ち去りがたい。 もう少し、と、うろうろする。
閉館するわけじゃないけれど、ここでの展示はこれで最後… 走馬灯が回り出す。
あの展覧会よかったな。そういえば、あれもよかった、これもよかった。 ここで初めて出会った画家が大勢いる。 良い作品をここで見て、名前はおぼろだったひとの魅力に開眼したこともある。 もっと見たくなり、他館の展示を探して見た。つながり、広がりもたくさんくれた。
自分と同じように、うろうろしている人びと。おそらく同じように、体験を重層化させている。 今、この空間は、多次元の感動に満ちている。その中を泳ぐ。
まだまだ浸っていたいけれど、もう帰らなくては。 後ろ髪をひかれながらも、思い切って展示室を出る。
1階に降りると、特設コーナーがあった。 懐かしい映像。かつての展覧会のポスター。観覧者用の書き込みノート。 こみ上げてくるものが何もないはずはない。
そのすべてが未来へと向かう。 自分はここにまた来るんだな、と確信して、ようやく美術館を後にする。
思い返せば、これほどの感動密度はなかなかない。もうないかも。 特別な展覧会だったなあ。
天平を はんすうしてる 12月
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