近代日本の洋画展

於・講談社野間記念館

の目撃談 (201509)

 

 

一枚目から良い絵。

《躑躅》黒田清輝1921 油彩、板

(画像はポストカード)

ツツジの花一つ一つに愛情が込められている、という解説があった。

その通り、と素直に感じる。

キャンバス自体が小さく、やや離れて眺める構図で、花一輪の占める面積はほんの少しなのに、

立体感がしっかりある。前に出てくる。

そして、鮮やかさ。花は花であって、葉じゃない。

 

《波》山本森之助1918 油彩、カンヴァス

(画像はポストカード)

この絵も魅力がある。

ヤン・トーロップの《海》に似ている。

点描は海の波をあらわすに向いているのか。

 

解説には、点描にこだわるあまり徐々に平板になったと批判された、とある。

確かに、この絵以外はちゃんと立ち止まって見なかった。

 

《日の出》中沢弘光1934 油彩、カンヴァス

海、崖、光の淡い感じ。モネを思い出させる。

 

本日の目当て。

《水浴》藤島武二1916 油彩、カンヴァス

サイトの小さい絵を見ても、これはいい、見たいと思わせる絵。

やっぱり実物は遥かにいい。

これだけでも来てよかった。

 

《日の出》藤島武二1931 油彩、カンヴァス

これもよいが、やや照明の当たり方がよくないので色が分かりにくい。

 

《薔薇》山下新太郎(昭和期) 油彩、カンヴァス

おお、さすが。

バラは誰でも描ける花ではないようだ。

  

《椿とみかん》中川一政1959 岩彩、紙

ひと目でひきつけられる。

背景は白と淡いクリーム色、そこに赤い椿と葉の付いたみかん。

みかんの花瓶のもようの線のタッチがいい。

中川一政にしてはべたっとした感じがないな、と思ったら、紙に岩彩だそうな。

これはよい絵だ。

 

正直、みかんは柿かと思ったが。さっと塗られた艶の白が、柿っぽいのよ。

 

柿と思ったのは隣の人の好きな果物だからかもしれない。 

実篤! 所蔵していると聞いたので、期待していたのだ。よかった。

《紅椿》武者小路実篤1938 油彩、カンヴァス

隣の一政には敵わないけど、出来のいいほうじゃないでしょうか。ぼってり感が椿。

花瓶は立体感に欠けるけど。そもそもこの花瓶が椿に合わないかも。

 

一政は、武者小路実篤記念館の看板の題字を書いた人。

仲良しだから、となり合わせなのね。

 

《明治四十五年七月十日、最後之帝国大学行幸図》藤島武二1927 紙本墨画

ほどよく鋭い線の運び。顔は描いてない。

 

《海》林武(昭和期) 油彩、カンヴァス

迫力。

展示場所が悪くて残念。

 

《健康》小杉未醒1926 油彩、カンヴァス

弓を置き、沢の水に手を伸ばす男。水を飲んだら空を飛びそうだ。

 

《牡丹》藤島武二1925 油彩、カンヴァス 『キング』大正146月号表紙原画

発色が今ひとつのような気がするが、武二っぽいところが魅力。

牡丹より蝶が武二のイメージ。

 

《笛を持つ女》藤島武二 油彩、カンヴァス

これはまた、良い武二だ。

ちなみに、出品リストに記載はなかったが、絵の上に3月号とあった。

表紙にするにはもったいない、というより向いていない絵かも。

顔アップじゃなくて立ち姿だから。

 

《秋果図》藤島武二1939 紙本墨画

これもよかった。

 

その隣に実篤!

 

《水仙》武者小路実篤1935 紙本墨画

画賛は「思い切って咲きたし」だが、葉のほうが元気そう。そこが実篤。

 

《蔬菜図》武者小路実篤1939 紙本着色

まん中のタケノコが力強い。

実篤は、花より野菜だ。

 

ほか、よかったもの。

《明治神宮》山口蓬春1927 紙本墨画

《「波風のしづかなる日も船人はかぢに心をゆるさざらなむ」》安田靭彦1927 紙本墨画

《孤島松「浪たかき沖の小島のひとつ松いつの世にかもねざしそめけむ」》中村岳陵1927 紙本墨画

《波》川村清雄(昭和初期)油彩、紙

《放網》小杉未醒1929頃 紙本墨画

《松石》小杉未醒1928 紙本墨画淡彩

 

 

思った以上に点数が多くて嬉しい。

 

 

 

 

…しかし照明がひどすぎる。

カバーの反射、ケースの継ぎ目。

特に通路の3点は、額の影になっていて、まともに見えなかった。

ちゃんと見せてほしい!

なんとかしてくださいな。

 

ポストカード。

どこも同じだが、色の再現性が低い。もう仕方がないとするべきか。

藤島武二は購入せず。

 

  

 

混雑状況報告。

ほどほどの人。空いているうちに入るでしょう。

部屋の独占は難しい。

絵の独占は、ケースの上からのぞき込む小さめの作品でも可能。

 

だいたい3回ずつ。

 

 2015/07/18(土)訪問 

   

 このページの画像はすべて埴子が撮影したものです。

 

 

会場|講談社野間記念館

会期|2015523日(土)〜720日(月)

 

   

  

    

 

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