クレオパトラとエジプトの王妃展
及び 総合文化展
於・東京国立博物館
の目撃談 (2015の15)
まずは平成館の企画展へ。
ざっと一周して気づいたのは、クレオパトラ(7世)が出てくるあたりで、テイストが変わること。 エジプト感が弱くなり、ギリシャ・ローマの彫刻っぽくなっている。
古代エジプト最後の王朝、プトレマイオス朝(前304〜前30年)最後の女王、クレオパトラ。 時代のみならず文化をも画するクレオパトラ。
キャプションを拾い読み。クレオパトラ(7世)はギリシャの血を引いているらしい。 なるほど。ストンと落ちた。そして、その辺りの事情をいかに知らないか、自覚した。
知らないなりに、知らないからこそ、気になったもの。
《王妃ヘテプへレス2世と その娘メレスアンク3世》アル=ギザ、メレスアンク3世墓(G7530-G7540)古王国・第4王朝時代 メンカウラー王治世(前2514〜前2486年頃) 肩を組む二人組。
《王女たちのレリーフ》テーベ西岸、ケルエフ墓(TT192)新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ3世治世(前1388〜前1350年頃) 楽器。 どんな音?
《王妃ハトシェプスト》 出土地不詳 新王国・第18王朝時代 トトメス2世〜ハトシェプスト女王治世 (前1492〜前1458年頃) 小さめの物ですが、はっとさせる美しさ。 だが照明がいまひとつ。更に、自分同様、見たい人は大勢いるので、じっくり見れなかった。
《テーベ市長アメンエムヘブとその妻と母》 テーベ西岸、アメンエムヘブ墓(A8)新王国・第18王朝時代後期〜第19王朝時代前期(前1320〜前1270年頃) 三人組。 ちなみに、埴輪にも三人組がいる。
《アラバスター容器》 出土地不詳 新王国・第18王朝時代(前1550〜前1292年頃) 3つ並んでいるうち、一番小さいものはおちょこサイズ。 でもおちょこではないでしょうね。何を入れたのか。香水? 油? 化粧品?
《パカレシとイシスのステラ》 出土地不詳 新王国・第18王朝時代(前1550〜前1292年頃) 一番上に大きな目が。おもしろい、と思ってしまう。
《将軍サイシス》 出土地不詳 新王国・第18王朝時代 アメンヘテプ2世治世(前1428〜前1397年頃) 《神官の監督サテプイフウ》 アビュドス、サテプイフウ墓(D9) 新王国・第18王朝時代 ハトシェプスト女王治世(前1473〜前1458年頃) 二人とも、膝を抱えている。 なぜそのかっこう? 基本は椅子の生活では。亡くなればミイラで横たわるはずだし。 胎児の体勢では、という解説があったが、胎児は膝は曲げても、腕で抱えてはいないと思うが。 文字をたくさん書き込みやすくするため? 全身を表現するより簡単だから? 縦長につくれなかった事情があったの?
《枕》 グラーブ 新王国・第18〜19王朝時代(前1550〜前1186年頃) 寝ている間に悪いものに入り込まれないために、魔よけの神様を刻む。
《カスタネット》 グラーブ 新王国・第18王朝末期〜第19王朝時代(前1330〜前1250年頃) ひじから先くらいの腕の形。もちろん2本で一組。木製らしい。細い。 どんな音? 大勢で叩くの?
《プトレマイオス8世とクレオパトラ2世のレリーフ》 テーベ東岸、カルナク神殿 プトレマイオス朝時代 プトレマイオス8世治世(前170〜前163年、前145〜前131年、前127〜前116年) クレオパトラ2世は左右の手に、それぞれ3本ずつパピルスを持っている。 パピルスをこすったときに出る音が好きな神がいたらしい。 どんな音?
《カエサリオン》 出土地不詳 ローマ時代(前1世紀頃) かわいいし、繊細なつくりで、像としていいのだが、もうエジプトっぽさはない。
衣服に文字が刻まれている像、多数。 象形文字なので、服の模様みたい。と感じるものもあれば、 耳なし芳一みたい。と感じるものもある。 この違いは何だろうなあ。 ちょっとしたデザインの違いか。文字の大きさとか、配置か。
レリーフの背景に文字。 絵と文字がごっちゃになる。絵と絵のあいだに突然の目、怖い。 文字が読める人にとっては、別に異様でもなんでもないのか。
王妃の冠、雄牛の角のあいだに太陽。 「雌牛が月を飛び越えた」を思い出したが、これはマザーグース。 雄牛と太陽、雌牛と月。 関連がありそうな、なさそうな。ないか。
水鳥・蛇・牛。 ちなみに、埴輪にあるのは水鳥と牛。 蛇は今のところなし。線刻になら、描かれているかもしれない。不明。
エジプトに戻ろう。 美女あらわる。 美女のまわりではドラマが生まれやすい。 ドラマを背負った美女は、ヒロインとなる。 ヒロインは、死してなお、新たなストーリーを生み出す。
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素材についての記載が欲しかったです。
石にもいろいろあるだろうから、詳しく書かれたところで自分にはわからないとは思うのですが。
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混雑状況報告。
やや混んでいました。 小さな装飾品などは行列。 隙間から見れるものだけ見ました。
大きなものも、独占は数秒がいいところ。
さっと2周。
2015/09/12(土)訪問 |
東洋館。 親と子のギャラリー ミイラとエジプトの神々 東洋館 3室 2015年7月22日(水) 〜 2015年9月13日(日) 2階。 ミイラ、頭部はほとんど骸骨。
1階の三人連れたち。 如来三尊仏龕
もっとたくさん並んでいたけれど、とりあえず3×3。
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本館。 今展示されている埴輪は1体のみ。
青海波の上着の彼女(群馬県伊勢崎市豊城町横塚出土)
さみしい。 だがこれも10/14(水)平成館考古展示室リニューアルオープンのためだ。 きっと今、続々と埴輪が並べられているに違いない。
丸山応挙のスケッチ。 蝶々。
《蝶写生帖(写生帖 甲帖)》円山応挙筆 江戸時代・18世紀
蝶々と蛾。
蛙、カタツムリ。 《昆虫写生帖(写生帖 丙帖)》円山応挙筆 江戸時代・18世紀
観察こそ基礎。見る知る感じる愛する。 この世界は美しく興味深い。
《詩書屏風》三井親和筆 江戸時代・安永9年(1780)
書に興味がなくとも、字が読めなくても、はっとする。 フォントの面白さ。
三井親和は書家・武術家だそうな。
近代の美術 本館 18室 本館と平成館をつなぐこの部屋は、つい足を止める作品が必ずある。 川合玉堂も横山大観も今村紫紅もいいけれど、 本日いちばんひかれたのはこちら。
平櫛田中《烏有(うゆう)先生像》大正8年(1919)
「烏(いずく)んぞ有(あ)らんや」 司馬相如が作り出した架空の人物、烏有先生。 全くないこと、何者でもないことの寓意だそうな。
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このページの画像はすべて埴子が撮影したものです。 |
クレオパトラとエジプトの王妃展
東京会場|東京国立博物館(平成館) 会期|2015年7月11日(土) 〜 2015年9月23日(水・祝)
大阪会場|国立国際美術館 会期|2015年10月10日(土)〜 12月27日(日)
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