マルモッタン・モネ美術館所蔵

モネ展

(前期・後期の二回)

 

および

屋外彫刻 いくつか

 

於・東京都美術館

の目撃談 (201518)

 

 

 

前期。

 

後期も見る予定。

1018日(日)まで展示の《印象、日の出》はしっかり、あとはささっと見ました。

 

それでも足を止めさせる作品たち。

 

《雪の効果、日没》1875

モネは雪景色もよい。

私がザ・モネ色と思っているピンクが映える。

 

《霧のヴェトゥイユ》1879

霧の中に消えてゆきそうな村。幻想的。

モネっぽさは弱いかな。でもよい。

 

《白いクレマチス》1887

画面いっぱいの花。ちょっと西洋美術館の《黄色いアイリス》を思い出させる。

 

《クルーズ川の渓谷、夕暮れの効果》1889

光と水。モネっぽさ強し。

 

《キュクメルに基づく年金生活者》1858

立体の像のデッサンみたい。

キュクメルってなんだろう。

 

《印象、日の出》1872

期待以上。

オレンジ色の太陽が反射する海。

全体的に使われている白っぽい絵の具が、真珠のようにつややかに光る。

かがんで見るとよくわかる。

配置や照明もよく考えられていて、見やすかった。

 

《ヨット、夕暮れの効果》1885

《断崖とポルト・ダモン、朝の効果》1885

光、水、反射。

 

《小舟》1887

右上に小舟を配置する、モネらしい構図。

小舟に誰も乗っておらず、濃い緑の水草が茂っている。

ちょっと怖い感じもするが、それも悪くない。

緑の中のオレンジが効いている。

 

《睡蓮、柳の反映》1916-19

紫の水面に、赤い花。どちらの色もいい。

睡蓮の絵の中では、今回はこれに一番ひかれた。

 

 

晩年の作品は、茶がかった赤が目立つ。黄色も。

《バラの小道、ジヴェルニー》 1920-22

色合いは好きではないが、タッチや構図は好き。

 

《バラの庭から見た家》1922-24

同じ構図で2点。どちらも少し怖いが、それも含めてモネらしいとも言える。

 

日本の橋シリーズは、青と白で描かれた、赤みの少ない作品が一番いいと感じた。

他、ところどころ黄色が縦に入った作品もひかれた。

 

モネの収集物の中では、ドラクロワの水彩画。

 

ウジェーヌ・ドラクロワ《エトルタの断崖、馬の脚》 1838

ウジェーヌ・ドラクロワ《ディエップ近くの断崖》1852-55

2点とも、色がよい。

 

このコーナーは小さめの物が多くて混んでいたので、後期にじっくり見よう。

だいぶはしょった肖像画も。

  

 

前期の感想まとめ

 

モネは水のある絵がよいようだ。

海、川。そういえば、雪も霧も水だ。雪もまたよろしモネの絵の中なら。

睡蓮も、睡蓮そのものより、池。

 

モネの絵は、見ている人も潤す。

だから世界的に人気なのかも。

 

  

 

前期の混雑状況など(2015/10/06(火)13:00-14:00訪問)

 

入館待ち時間10分。

館内は混んではいますが、飛ばしつつ見て回るとまあまあ見られます。

小さい作品は、人のあいだから見るか、おとなしく並んで最前列で見るか。

各作品の独占はまず無理。

一番すいていた最晩年の作品の部屋でも、せいぜい数秒。

 

混雑緩和の工夫がなされています。

 

どの展覧会でも、一番混むのは展示室入ってすぐ。

壁に映像を流しています。画面大きめ。

冒頭の解説文掲示のスペースも広め。

観覧者が少し分散されます。

 

1018日(日)まで展示の《印象、日の出》。

近くで見たい人用のコースが作られています。行列はこのときは10人足らずでした。

このコースに入らず、離れてみることもできます。

離れると言っても、2.5mくらいまで近づけます。私はこちらだけで見ました。

 

出口の手前で入口に戻れます。

2周しました。

出口を出てしまうと、再入場は不可。

 

本展のグッズは、会場内のミュージアムショップでのみ販売。レジは行列。

会場外のショップでは、本展以外のモネグッズを販売していました。

 

  

  

 

二年前のモネ展(モネ、風景をみる眼)は、こんなに混んでいなかった。

日の出効果か。

 

思い出したついでに二年前の自分の感想文(モネ と ムンク と スペイン・アンフォルメル)を読む。

「モネによると朝の空は銀色」とある。たぶん展示室のキャプションのメモ。

 

本展の《印象、日の出》の空は、淡いグレーと淡いクリームに、淡いオレンジ。

モネとしては銀色ベースだったのかも。

 

もっとも、空より海に目が行った。

 

 

 

 

ひといきついて

屋外彫刻

  

 

いつも見逃している奥の彫刻を見ようと思って、探す。

佐藤慶太郎記念 アートラウンジに行くと、ありました。

 

堀内 正和 《三つの立方体A

 

しかしガラス越し。

 

 

柱や窓の枠や椅子やらが邪魔になる、この配置はどうか。

 

模型で見ると

 

ここ。

 

 

外から近づこうとしてみたが

 

 

できなかった。

この日は北口が閉まっていた。

 

彫刻は皆そうだが、この作品は特に、周りをぐるっと回れなくてはつまらない。

 

 

 

配置換えしてほしい。

 

 

 

彫刻、もう一点。

トビカンの外に出て、《三つの立方体A》に近づこうとしている途中で出会った。

 

最上 寿之 《イロハニホヘトチリヌルヲワカヨタレソツネナラムウヰノオクヤマケフコヘテアサキユメミシヱヒモセスン》

 

旋帯文石(弧帯文石)を思い出させる…

いったん通り過ぎたが、後ろ髪をひかれて戻った。

 

ちなみに、旋帯文石はこちら。

 

トーハクのレプリカ。以前トーハクにて撮影。

(原品=岡山県倉敷市 楯築神社 伝世、弥生時代(後期)

  

掘られている文様の幅が一定なところが似ている。

円のあるなしが違う。

 

 

イロハ石のほう、角度を変えて見てみると

あごを突き出しているみたい

 

秋のイロハ

 

 

  

 

 

 

後期。

前期に魅かれた作品と、前期にしっかり見なかった作品を見る。

 

《トゥルーヴィルの海辺にて》1870

風景に溶け込む人物。

 

《雪の効果、日没》1875

前期と同じくよい。

 

《オランダのチューリップ畑》1886

全体はそれほどいいと思わないが、水がよい。

 

《ポリーの肖像》1886

本展の肖像画ではこれが一番。

背景や服に、モネのピンクが見える。

 

 

モネの収集物。

小さめの作品が多く、ちゃんと見るには並んでじりじり進まなくてはならないが、めっけもの多し。

特に、ドラクロワ、ヨンキント、ロダン。

 

ウジェーヌ・ドラクロワ《エトルタの断崖、馬の脚》 1838

よい。波が特に。

 

ヨハン・バルトルト・ヨンキント《ラ・コート=サン=タンドレからル・グラン=ランへ向かう道》1880

ヨハン・バルトルト・ヨンキント《ポール=ヴァンドル》1880

ざっくり描かれた水彩の2点。

キャプションによれば、モネが師と仰いでいたらしい。空気を描くことを教えてもらったという。

2点とも魅かれるものがあった。油彩を見てみたい。

 

オーギュスト・ロダン《洞窟の中の若い母》1885

オーギュスト・ロダン《牧神とニンフ》1886

さすがというべきか、ぐっと引っ張られる。

ロダンの作品には、どこか哀愁を感じる。

 

《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》1877

機関車の蒸気が立ち込めている。

見ているこちらへも、いつのまにか蒸気が来ていて、湿度を感じる。

背景や、手前の煙に、ほのかにモネのピンク。

 

モネの建物はピンとこない。

 

《ヨット、夕暮れの効果》1885

前期より目を引いた。

前期よりじっくり見たからよさがはっきり感じられた、ということかな。

 

絵はがきは空が黄緑になっちゃってて、残念だ。

  

《睡蓮》1903

青と紫、これぞモネ、という作品。

混むと見づらい場所に配置されていたので、前期は横目で見ただけ。

ゆっくり見ると、やはりこれが一番かな。

水面に浮かぶ睡蓮、映る柳。

どこに水面があるのかが、よくわかる。みごとな描き分け。

水中までは見えないが。

 

 

目を犠牲にしても、太陽の光のもとで水を描いた作品たち。

 

晩年の作品は、モネが黄色い眼鏡で見た庭。

 

  

 

後期の感想まとめ

 

収集物のレベルの高さよ。

自分が描くモチーフを見る目のみならず、作品を見る目もあったモネ。当然か。

 

海、川、雪、霧、池、に加えて蒸気。

水がモネにエネルギーをくれたのか。

 

 

 

 

後期の混雑状況など(2015/12/01(火)13:30-14: 30訪問)

 

入館待ち時間なし。

館内は混んではいますが、前期ほどではないように感じました。

各作品の独占は考えない方がよいでしょう。

 

《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》は、前期《印象、日の出》が展示されていた場所に展示。

近くで見るコースと離れて見るコースを分ける手すりはなくなっていました。

 

本展のグッズは、会場内のミュージアムショップでのみ販売。レジは行列。

 

出口の手前で入口に戻れます。

2周しました。

出口を出てしまうと、再入場は不可。

 

会場外のショップでは、本展以外のモネグッズを販売していました。

本展出展作品のポストカードも数種類ありました。本展用のものかどうかは不明。

 

 

閉幕間際はどうなることやら。

 

 

  

 

 

 このページの画像はすべて埴子が撮影したものです。

 

 

マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展

 

東京展

会期|2015919日(土)〜1213日(日)

《印象、日の出》東京展 919日(土)〜1018日(日)展示

《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》東京展 1020日(火)〜1213日(日)展示

《テュイルリー公園》は東京展 展示なし

会場|東京都美術館

 

福岡展

会期|20151222日(火)〜2016221日(日)

会場| 福岡市美術館(福岡市中央区・大濠公園内)

 

京都展

会期|201631日(火)〜201658日(日)

会場|京都市美術館(京都市左京区・岡崎公園内)

 

新潟展

会期|201664日(土)〜2016821日(日)※予定

会場|新潟県立近代美術館(長岡市)

 

※各会場によって展示作品が一部異なるもよう。公式サイトでご確認くださいな。

 

    

  

 

このまえの目撃談 (201517)

 常設展 および 企画展<SHIBUYA(國學院大學博物館) の目撃談

 

このあとの目撃談 (201519)

企画展 相撲 および 常設展(行田市郷土博物館) の目撃談

 

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