東京藝術大学アフガニスタン特別企画展 素心 バーミヤン大仏天井壁画 〜流出文化財とともに〜

於・東京藝術大学大学美術館 陳列館

の目撃談 (201609)

 

晩春というより初夏の四月末

額縁の緑が若い

陽に映える

 

  

流出文化財と、クローン文化財。

 

 

流出文化財、すなわち「文化財難民」87点。

日本で保護され、アフガニスタンに帰国する。

 

えぐられた壁。かつてそこには顔があった。

 

仏像。宗教。偶像崇拝。

文化の境界はどこにでもある。どうしてここでは、これほどにぶつかったのか。

 

「アイハヌム・ゼウス像(想定復元)」

同時開催の「黄金のアフガニスタン(東京国立博物館)」に展示の左足断片をもとに、

足から肩までを復元。

さすがに顔は難しいか。推定を超えて、別の創作物になってしまう。

 

1階の最後の展示はさわれます。

顔を失った壁。あったはずの顔を手探りする。再現する。

 

解説を読む。

 

「文化財難民」

修復・再現・復元する。これは、レプリカではない。

 

「コピーではなくクローン」

同等の価値を持つものを、新たに生み直す。

 

「良い名称をつけないと、広まらない」

まったく正しい。

文化財を生き延びさせるためには、人々を味方に引き入れ、味方を増やす必要がある。

そのために、保護や修復をするだけでなく、その活動にふさわしい、力ある言葉を探す。

遠く離れた、言葉の違う国の文化財のため。

 

コピーはコピーでも、別の意味のコピーが重要なのだ。

  

 

2階。

「バーミヤン東大仏天井壁画 天翔ける太陽神(想定復元)」

鑑賞者は大仏の頭上から壁画を眺めることができる。

それでも、じっくりみないと、どこに何が描かれているのかはっきりわからない。

気になるところが見つかるたびに、解説を探して読み、戻って見上げる。

 

完全には復元されていないので、不明な部分は自分の想像で補うしかない。

 

想像するためには、知識が必要ということがわかる。

 

それにしても、いろいろな宗教、というか、異なった思想が混ざっている。

融合、融和は可能である、という一つの証拠。

 

 

 見上げる

という行為。

 

尊敬があれば破壊はない。

 

  

 

混雑状況報告。

 

程よく人がいました。

1階でも2階でも映像が流れています。

そちらにも見入る人多し。

2階の壁画は、ぶつからないように気を付けましょう。

 

 2016/04/26(火)訪問 

   

 

東京藝術大学アフガニスタン特別企画展

素心 バーミヤン大仏天井壁画

〜流出文化財とともに〜

 

会場|東京藝術大学大学美術館 陳列館

会期|2016412日(火)〜619日(日)

 

     

    

 

このまえの目撃談 (201608)

黄金のアフガニスタン(東京国立博物館)の目撃談

 

このあとの目撃談 (201610)

企画展 偶像(アイドル)の系譜 および 常設展(國學院大學博物館) の目撃談

 

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