の目撃談 (2016の26)
これは1階
《デルフトとその郊外》のレプリカとの撮影スポット
本物は地下1階の会場に
ピエール・アレシンスキー、1927年ベルギーはブリュッセル生まれ、現在89才 。
芸術家集団コブラ(CoBrA)時代の版画。職業シリーズ。1948年(2001年再刷) 子供の絵のよう。だが、日本の子供ではないな。 エルンストのブロンズ像にも似ている。
腕がだいたい左右対称なのが印象に残った。 会場内で流れている映像を見たせいかも。 左利きだったのを、右利きに直されたそうだ。 絵を描くときは、左手を使うことが許されたらしい。 結果、両利きになったらしい。 本人が両手で左右から書いた文字が、会場入口近くに展示されていた。
《ひと包みの海》1953年 ひきつけられた。 ジャクソン・ポロックのデッサンと似ている。 アルコール依存症の治療をしていた頃に、治療の一環として描いていたらしいデッサン。 1962年のオレンジの皮シリーズも、なんだかタッチがポロック似。 と思っていたら、解説にポロックの名があった。 ポロックは1912年生まれ、1956年没だから、アレシンスキーが影響を受けたのかな。 それとも、心の中に深く降りていくと、共通するものが現れるのか。
ポロックよりも、明るくて爽やか。 バランスのとれたポロック。
《誕生する緑》1960年 黄緑。 流れる油絵具。野見山暁治を思い出す。 野見山暁治は水や海のイメージだが、アレシンスキーは違うな。なんだろう。 この絵はそのまま若緑。萌えいずる、瑞々しい若い葉。 アレシンスキーの、この黄緑色はいいな。
60年代に身に着けた版画の手法。 ラベンダーの精油で描いたらしい。 左手からラベンダーの香り。 作品から香りは確認できなかった。
手紙や地図の上に描くアレシンスキー。 地図が地模様、は、なんとなくよかった。粋、ってなかんじ。
《魔法にかけられた火山》1974年 《見張り》1977年 《見本》1979年 あの黄緑色。
《無制限の責任》1981年 青で広く塗りつぶされた画面が珍しい。 この紺に近い青もいい。
《ボキャブラリー T-[》1986年 その青一色で、アレシンスキー・モチーフを並べた。 火山。滝。樹木。階段。レンガ。 三角、円、波。 火山かと思ったら、ダチョウの羽根の帽子。
なぜか、本を読んでいるらしき男。
縦長の画面の連続は、若林奮を思い出す。 アレシンスキーのこの作品は、さらに横にも分割されている。
《プリズム》1988年
《直観的な廊下》2001年 セピア一色、平行な曲線。 弧帯紋みたい。
《ぼた山》2006年 ここにもセピア。
1951年の《横顔》にも、トーンの近い色が入っていた。
丸い画面の作品群は、お皿のよう。古代ローマ・ギリシャ時代?
《鉱物の横顔》2015年 丸作品の中で特に印象に残った。 たぶん蛇だが、龍にも見える。 蛇の体が、レンガでできている。 蛇の縁と円の縁が、小さな四角でできている。 モザイク画みたい。 これもコマ割りの一種?
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縁取りやコマを設けることで、自分の世界を少し整理しているのかな。
火山といっても、災害のイメージではない。自然のエネルギーの噴出。 鳥の羽根は、鳥ではなく帽子に、立てて付けられている。 樹木、勢いよく伸びる若木。 天へと向かうもの、誕生や始まり。 黄緑色のアレシンスキー。
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混雑状況報告。
混んではいません。 どの作品も独占可能。
3周。
2016/11/08(火)訪問 |
アレシンスキーと《デルフトとその郊外》2008年
会期| 2016/10/19(水)−12/8(木)
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