夜を彩る清けき光

於・渋谷区立松濤美術館

の目撃談 (201627)

 

 

  

後記展示。

 

《雪月花 淀川》葛飾北斎 1832

船が何となくよかった。

が、この人はもっといい作品があるからなあ。富士とかね。

 

《竹取物語絵巻(ハイド氏旧蔵本)》

水がよくて、目を引かれた。水のうねりや色。

水の縁は不自然なのだが、それを補って余りある。

松や岩の新緑、砂糖でアイシングしたみたい。気のせいか、盛り上がって見える。

本展一番。

 

《月天(十二天像〈甲本〉の内》

手にした球体の中にうさぎ。

球は月であった。

 

雪月花図》勝川 春章

三幅対。

御簾を上げて雪を見せる清少納言。

琵琶湖に映る月を石山寺から眺める紫式部。

活けられた花を見返る小野小町。

 

見返りポーズは、江戸の浮世絵師勝川春章が、小野小町を美人として描いている証か。

体をひねる女性的なポーズ。

 

対して、坐って肘をつく紫式部は、やや男性的かも。

本展では主役なのですが。

 

この三幅の三美人では、清少納言に軍配を上げます。

後姿が華やか。

平安衣装に下ろし髪。さらに春章の遊びか、裳に乗せた緑。

加えて、両手を前に差し出すポーズが、女子埴輪にもよく見られるので高ポイントです。

 

山水図》岳翁蔵丘

しっかり見てしまう。そうしないともったいない気がする。

確実に上手く、力強い筆の運び。

山も松もいいが、左下の小さな人たちがなんだかよい。

 

富岡鉄斎が3点。

どれも強い印象で、他と比較できるようなものではない。

《読書立志図》富岡鉄斎

丸い窓。

《寿老人観月図》富岡鉄斎

パッと見てどういう体勢かわからなかった。

頭の大きい寿老人。

《砧打図》富岡鉄斎

女の顔があっさりしているのに表情がある。

月夜に砧で布を打つと、布が柔らかくなるという。

月と女と布はわかるが、砧がイメージしづらい。

 

《月百姿》月岡芳年

この人の絵はどこかで見た、と思ったら國學院で見たのだった。

企画展 偶像(アイドル)の系譜 および 常設展(國學院大學博物館) の目撃談

月岡芳年は名前の通り月の画家。

月の画家、すなわち物語の画家。

 

田毎の月図鐔》西垣永久

田に映った三日月。

並ぶどの田んぼにも、三日月が細い線で描かれている。

実際にはありえないと思うが、視点を変え、目に映ったものを繋ぎ合わせたら、こうなる。

これはまさに、セザンヌ。

 

 

月とうさぎ。

月とホトトギス。

月と雁。

 

月と組み合わせて絵になるもの、物語になるものが、描くほう見るほうの人々に支持されて残る。

 

  

 

混雑状況報告。

 

高校生かな? 団体さんがいました。

コースを変えたり、ちょっと待ってやり過ごしたりすれば、作品独占可能。

 

 

 

 2016/11/08(火)訪問 

   

 

月 夜を彩る清けき光

会場|渋谷区立松濤美術館

会期| 2016108日(土)〜20161120日(日)

 

     

    

 

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ピエール・アレシンスキー展Bunkamura ザ・ミュージアム)の目撃談

 

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