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平成28年度慶應義塾大学民族学考古学資料展 人を模る造形の世界 ―南洋・東洋・中近東―

於・慶應義塾図書館

の目撃談 (201703)

 

 

看板にも埴輪。右上にいる。

目の力が断トツである。

埴輪の引力。

やはり中空に達する孔、という構造の強み。

 

さて埴輪本体は

ここに。

3体ありました。

壁のケース入りなのが残念。

でも撮影可です。

 

 

【女子埴輪】出土地などの詳細は不明らしい

帽子を被った女子埴輪!

珍しい。

気になるところいっぱい。

 

額に櫛、胸の突起など、確かに女子。

顔と体に赤い彩色。

顔と体で、顔料の残り方が違う。気になる。

体にはあるハケメが、顔にはないせいかな。

二の腕がぐるりと赤いのはなんだろう。たすきかな。

 上半身の上半分しか残っていないのが残念。

 

帽子にも赤い彩色がすこし残っているっぽい。

帽子の鍔は、ぐるっと360度、後ろがわずかに欠けているらしい。

帽子の天辺に穴。開いてはいない。

穴というより、何かがぽこっととれたような跡だ。

なにがついていたんだろう。

 

首飾りと耳輪は、男女共通の埴輪の基本アイテム。

耳輪の前が、両側とも削れている。気になる。

 

どうしても引っかかるのは、帽子と櫛の共存。

帽子と櫛の埴輪を他に知らないのも理由だが、

現実に、前髪に櫛をさすような髪形にした女が、帽子を被るだろうか。

そもそも帽子は被れないのじゃなかろうか。

 

たずねても

こたえられない

困り笑い

 

謎は持ち越し。

 

 

【男子埴輪1】出土地などの詳細は不明らしい

脚部が欠けているものの、それ以外の部分の残りはよい。

 安定感のある埴輪。

 

顔から首にかけて黒い彩色。

美豆良は下に向かってふっくら広がる円錐。

丸い帽子の裾には帯が二周。

左腰には大刀を下げている。

 

いい顔。下総型。

と思ったが、小冊子の解説によると、

顔以外の特徴は群馬県中央部から東部にかけてのものだという。

 

 

【男子埴輪2】群馬県太田市二ツ山二号墳出土

上げ美豆良は丸みのあるC字型。

ほか、残りはあまりよくない。直しも粗い。

頭部にもっと何かついていたはず。上から見たい。

 

でもともかく、顔が残っていてよかった。

 口の周りは、鼻の下あたりから顎にかけて赤い。

首飾りと服も。

 

解説によると、背面の腰に「L」字状の道具をつけているという。

見たい!

 と思っても、後ろに回れない壁置き。

横から見てみるが

これが限界でした。

背後に鏡つけてほしい。もしくは島置きにしてほしい。

 

 

左上、復元古墳の写真。

たぶん千葉県成田市の龍角寺古墳群第101号古墳。

なぜか記載がなかった。

 

 この復元古墳にはむかし行ったなあ。こんなにいっぱいいたっけ。

 

 

 

埴輪以外。

 

【フェニキア人型仮面】

赤い彩色つながりで埴輪ゾーンにいる。たぶん。

仮面だというが、目は開いていない。

穿孔のあるタイプの仮面を展示してくれたらよかったのに。

 

 

【陶俑】

本展のものはみな小さめ。高さは20cmくらいでした。

型取りののち彩色って感じ。

 

西方騎馬民族「胡人」は深い目・高い鼻・鼻下の髭が特徴的なのだそう。

左端がそうなのかな。

 

 

【土偶】

小さい土偶はだいたい板状。中空ではない。

大きい土偶は中空。

どちらも目と口は穿孔ではない。

 

 

入館時に、受付で氏名などを記入して、パスを借りて下げて入りました。

 

図録。

小冊子が入り口に積んでありました。

写真いっぱい。ありがたくいただきました。

 

 

その小冊子から、覚書。

「数多の資料のなかから人を模る造形物をブリコラージュ的にならべてみる」

ブリコラージュとは?

「手近な素材を寄せ集めて、試行錯誤しながらも新しい何かを生み出す実践」

 

元のフランス語だと「繕う」とか「誤魔化す」とか、あまりいい意味ではないようだ。

 

本展のブリコラージュは、レヴィ=ストロースの意味するところのブリコラージュ?

『「野生の思考」とは、当事者たちが手持ちの記号や象徴を組み立てて理解を探るものである。そうした過程を、彼は素人が有り合わせの材料で制作をおこなう〈ブリコラージュ〉にたとえ、それは「未開」社会のみならず、現代でも日常生活の多くを律する思考様式であり、とりわけ芸術家の創作に多くみられるとした。』

『岩波思想・哲学辞典』1998岩波書店

 

素人とプロの境界はないということか。

いや、どんな記号と象徴を手にしているか、でつくられたものに違いが出る、ということかな。

 

 

さて

ブリコラージュを離れ、本展の展示に戻る。

 

意識して見ていなかったが、展示テーマがいくつかあったらしい。

埴輪と陶俑は、《死者に仕え護る》というテーマでの展示だったもよう。

同じテーマの展示品は陶俑。ケースは別。

同じケースのフェニキアの仮面は、《死者の魂を宿す》のテーマだったらしい。

テーマと配置が錯綜している。

 

「文化の三角測量」が最重要コンセプトだったらしい。

「『文化の三角測量』は、地測における三角測量からの類比的借用に基づいているが、地測の場合と同様、3文化の2つを、他の1文化を測る参照点とすることによって、2文化間の相互比較よりも、より適切な対象の測定が可能になると思われる。文化についての認識は、認識する主体である研究者自身が生まれ育った文化による偏向が不可避である以上、 完全に客観的ではあり得ない。研究者の文化も3文化の1つに含む、著しく異なる、相互に断絶した3文化の1つを、他の2文化を参照点とすることによって、より適切に対象化、相対化することを期待できるだろう。さらに、地測と同様、さまざまな文化の研究者の協同で三角測量点を増やしてゆくことによって、広汎な人類文化探求の可能性が開けるだろうと思われる」

『ヒトの全体像を求めて ―身体とモノからの発想―』川田順造2011

 

なるほど。

知りたい一つを、より客観的に知るには、二つより三つ、三つよりたくさんを比べたほうがいい、ということね。

これを小冊子に載せてほしかったわ。

 

本展では「南洋」「東洋」「中近東」の3文化で、文化の三角測量をしていたのか。いまさら気づく。

たしかに、埴輪と同じケースには、フェニキアの仮面のほかにも、メラネシアの木製の像などがあった。

展示を見たときは、別個にただ眺めていた。

 

記憶と小冊子の力を借りて、あらためて埴輪の三角測量をする。

 

素材と作り方。

フェニキアの仮面は埴輪と同じ粘土で素焼き。メラネシアの木像は木を彫ったり塗ったり。

 

全身のプロポーション。

埴輪も含め大型のものは、顔が大きくなりがち。

 

顔の構造。

これは初めに気づいたとおり、目と口を穿孔で表現しているのが埴輪、他はそうではない。

 

表情および印象。

埴輪はまるい、柔らかい。他はするどい、硬い、近寄りがたい。

どうしても主観が入る。

 

目的、というか利用法。

本展のテーマに従うと

フェニキアの仮面とメラネシアの木像は《死者の魂を宿す》、埴輪は《死者に仕え護る》。

 

特に新しいことが出てこない。わかっていることしか浮かんでこない。

わたしの三角測量がうまくないなのか。

埴輪以外はしっかり観察しなかったからな。比較しようという意識も低かった。

 

と反省中に、出てきた。

木像、魂を宿すには中に入れねばならない。中空じゃないけど、中に入れるのかな。死者ならできる?

仮面、魂を宿すというより、生者が死者を演じるのかな。ともかく、中に入るのは生者だ。

埴輪、中空だけど、中に入る? 誰が? 何が?

 

ルーツの特殊器台は、何も入らない。しいて言えば、壺が入る。入るというより乗ってるけど。

その壺には、おそらく、死者への捧げものが入っていた。

埴輪の中にも捧げものが入っているか?

壺形埴輪や朝顔形円筒埴輪なら、入っているかも。

物体としてはともかく、なにかしらの捧げものが中に入っている、と当時の人びとがイメージしたかも。

壺なき円筒埴輪はどうだろう。中に何かを入れることを考えて作ったとは思えない。

ただし、棺として利用された埴輪には、死者の体が入る。

 

人を模った人物埴輪には?

死者が入るには、葬られた人数と人物埴輪の数が合わない。死者が足りない。

生者が入るには、サイズがやや小さい。

からっぽか? そうは思えない。やっぱり捧げものが入っていたのかな。

だとしても、壺に入れるものと同じものとは思えない。

これはまだ出てこない。

持ち越し。

 

中に入るもの。

中心に、何があるか?

 

 

 

  

 

混雑状況報告。

 

ほぼ独占状態。

人が来ても、一人ずつ、ぽつんぽつん、といった感じです。

 

 2017/01/24(火)訪問 

   

 

◎平成28年度慶應義塾大学民族学考古学資料展 人を模る造形の世界 ―南洋・東洋・中近東―

会場:慶應義塾図書館

開催期間:2017113()28()

 

     

    

 

このまえの目撃談 (201702)

粟津則雄コレクション展 思考する眼”の向こうに(練馬区立美術館)の目撃談

 

このあとの目撃談 (201704)

調布に暮らした武者小路実篤展(調布市文化会館たづくり)の目撃談

 

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