オルセーのナビ派展 美の預言者たち ―ささやきとざわめき
於・三菱一号館美術館
の目撃談 (2017の10)
ポール・ゴーガン《「黄色いキリスト」のある自画像》1890-1891年 ゴーガン、が正しい発音に近いのかな? というのは置いておいて、 いい自画像。この自画像がゴーガンのベスト自画像かも。 キリストの絵と自分の顔の壺とを、背負ってまだ余裕があるゴーガン。 それほど大きくないキャンバスから、ぬっと出てきそう。
ところで、背景のゴーガンの顔形の壺、どこにあるんだろう。見たいな。
ポール・セリュジエ《にわか雨》1893年 何だか目を引く。地味な色彩だが。雨が作り物っぽいが。 だが何だかよかった。
エミール・ベルナール《収穫》1888年 黄色が鮮やかで、見てしまう。
エミール・ベルナール《ブルターニュの女性たち》1888年頃 手前の人物、しっかりした輪郭のタッチで、背景から切り離されている。 その輪郭の内側にある顔は、なめらかさを感じさせる、異なるタッチ。
モーリス・ドニ《緑の東屋の下にいるブルターニュの女性たち》1907年頃 ドニっぽさは弱いけれど、好きだな。 空とか。明るめで柔らかいけど鮮やかすぎない。 緑から下は暗めだけど穏やかな感じ。 女性たちは白い被り物だけが浮かび上がっている。 どういう体勢? としばらく目を凝らしつつ考えてしまった。たぶん分かった。
ポール・セリュジエ《タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川》1888年 ナビ派にとっては画期的な作品らしい。 二次元を追求。 が、わたしにはいま一つ来なかった。
ピエール・ボナール《庭の女性たち 猫と座る女性》 1890-91年 草で描く青海波。
アリスティード・マイヨールが1点。大きい作品だが、あまり好きじゃない。 ブリヂストン美術館蔵の壁彫刻がいいかも。
エドゥアール・ヴュイヤール《森の中の二人の女性》1890年頃 四人いるように見えるが。 手前の二人の服が印象的。流れるような。 森の緑も。木というより、海藻みたい。 吸い込まれる。 パステル。
ヴァロットンはどうも好みじゃない。 しいて挙げるなら《アンティミテ Wもっともな理由》かな。 本棚の本がちょっとチャーミング。 版画の下書きだそうな。
エドゥアール・ヴュイヤール《読書する男性(ケル=グザヴィエ・ルーセルの肖像)》1890年 エドゥアール・ヴュイヤール《八角形の自画像》1890年頃 明るめのはっきりした色彩。 光と影の色分け。 デザイン、イラストレーション、というような印象。
ヨージェフ・リップル=ローナイ《花を持つ女性》1891年 ちょっと異質。
モーリス・ドニ《車窓にて》1890年 「子ども時代」の章の部屋に展示されていたけど、これは子ども? というかこれドニの絵なの? ムンク的なものを感じた。
エドゥアール・ヴュイヤール《公園 質問》1894年 かがむ女性がよい。
エドゥアール・ヴュイヤール《公園 会話》1894年 空と雲に魅かれた。 会話する人たち、左端の人は日傘で顔が見えない。 うしろでふざけっこする人たちがコミカル。 手前の地面が広い。
エドゥアール・ヴュイヤール《ベッドにて》 1891年 本展一番。 ベッドの手前にかかった毛布が、影を落としている。その影がよい。 毛布や枕や壁の色合い、何だかひかれる。 顔は色が濃く目立つが、描き込まれず、ただ閉じたまぶただけ。 そして壁にかかっているもの、解説がないとなんなのか分からない。 見えているのはT字形だが、上部を隠した十字架だそうな。 塗り方やサインなどで、意図的に隠していることがわかる。 神も夢までは干渉できないということ?
モーリス・ドニ《プシュケの物語》1907年頃 ドニの色彩。明るめのドニ。この空の青。 下絵だそうですが、それだけに顔が描き込まれていないのでかえって色彩の魅力が際立つ。
マルグリット・セリュジエ《谷間の風景 四曲屏風》1910年頃 日本の秋を感じる。
ポール・ランソン《水浴》 1906年頃 花とか水とか、おどろおどろしい感じを出そうとしているのがわかる。 でも中央の女性はいいな。
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振り返るとMVPはヴュイヤール。 また会いたいものです。 |
混雑状況報告。
空いているほうでしょう。 時々ひと部屋を独占していました。
2017/04/27(木)訪問 |
◎オルセーのナビ派展 美の預言者たち ―ささやきとざわめき 会場:三菱一号館美術館 開催期間:2017年2月4日(土)〜5月21日(日)
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