ベルギー奇想の系譜展
の
目撃談 (2017の28)
狙ったところと魅かれたところだけ見て、ほかは流し見。
第一章「15-17世紀のフランドル美術」
始めの油彩は、赤と青の色の対比が鮮やか。 ドラクロワを思い出した。ドラクロワはずっと後の19世紀の人だが。
第二章「19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義」
フェルナン・クノップフ《巫女(シビュラ)》1894年、彩色写真(撮影:アレクサンドル) 彩色写真というものがあるのね。写真に彩色するという技があるのね。 この《巫女》は、顔や手の質感と、まとっているものの質感とが違っているの。 石膏の中に生きた人が現れたような感じ。
フェルナン・クノップフ《裸体習作》1910年頃 鉛筆・木炭・パステル、紙 クノップフらしさが強く感じられた。 小さい絵だけど力がある。
クノップフはどの作品もよく、印象強かった。
ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク《運河》1894年 横長の画面。運河に沿って、建物と木々。 知らない画家でしたが、ちょっと魅かれた。
スピリアールトは1点のみで残念だけど、その1点がよい絵でよかった。 レオン・スピリアールト《堤防と砂浜》1908-1909年 墨・水彩、紙 光が道をつくる。わずかににじむモノクロ。
第三章「20世紀のシュルレアリスムから現代まで」
ポール・デルヴォー《スケッチブック「夕暮れの駅にたたずむ少女」》1963年 ペン・インク・ボールペン、紙 『旅と芸術』展で見た《駅》を思い出した。 駅と少女の組み合わせはデルヴォーのモチーフなのか。
マグリット10点。 内訳は、油彩5点、リトグラフ3点、エッチング2点。 ルネ・マグリット《虚ろな目》1927または1928年 油彩、キャンヴァス これは始めて見たと思う。初期のタッチ、初期の色。
ルネ・マグリット《前兆》1938年 油彩、キャンヴァス 雪山を臨む洞窟。 小さ目の画布、丁寧な塗り。 2015年のマグリット展でも見たが、やっぱりいい。
ルネ・マグリット《9月16日》1968年 エッチング、紙 ルネ・マグリット《オールメイヤーの阿房宮》1968年 エッチング、紙 小さなエッチングだけど、どちらも見入らせる。 亡くなった翌年の刷り。
ティエリー・ド・コルディエ《狂った森、No.1》2010年 油彩、キャンヴァス そのまま本展No.1です。 大きな画布の深い青。 森というより闇か。吸い込まれそう。神隠しに遭いそう。 画布の右上についているのは葉っぱを着色したもの? いっそ吸い込まれたい、と思わせるのはクールベの《オルナンの渓谷》との共通項。 絵のタッチは違うが。 この人の絵をもっと見たい。
リュック・タイマンス《磔刑図》1999年 油彩、麻・木材(植物素材) 白に飲まれたかのように淡い。優しい色だが十字架か。
|
流し見した作品群、キリストがテーマのもの多し。 いかに反発したか、は、そもそも、いかに縛られていたか、を、ものがたる。 内側から縛られている。
|
図録あり。¥2500なり。 ショップで見たところ、東京会場では展示されていない作品が結構あることがわかった。 しかたないことだが、残念。
マグリットの絵はがきやグッズが置いてあった。珍しい。 本展には展示されていなかったが《ある聖人の回想》の絵はがきを入手。
|
混雑状況報告。
なかなか混んでいました。 チケット売り場は一人待ち。 展示室内は後ろに気をつけないと危険。 版画は、近くで見るにはゆっくり動く行列に並ぶ。 遠目でいいなら、その行列の後ろからのぞく。
2017/09/22(金)訪問 |
◎ベルギー奇想の系譜展 開催期間:2017年7月15日(土)〜 9月24日(日)
|