シャガール 三次元の世界
の
目撃談 (2017の30)
マルク・シャガール(1887-1985)。
恋人たち。 雄鶏。 花束。 山羊。 アルルカン。 ロバ。 魚。 振り子時計。 黒い手袋。
家々の上。 月。
花瓶は花を入れるもの。 花は恋人に贈るもの。 誕生日。
二次元で重なる二重肖像の恋人たち。 深いところですべてはひとつ。 三次元では密着感が強調される。
作品群全体から受ける空気を楽しんだ。 立体作品多めの展覧会ならではか。 空間への影響力。
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印象に残ったもの。
《青いロバ》1954年 彩色陶器 《把手のついた壺》1953年 彩色陶器 引っかきの線がシャガール。
《鳥の上の女》1951年 髪がつややか。
《水浴する女》1953年 テラコッタ 器の中に入った女。もしくは器の中からあらわれた女。 ブロンズの同型作品と並んでいたがテラコッタのこっちがいい。 ブロンズという素材はシャガール向きじゃない気がする。
《雄鶏》1962年 テラコッタ 鶏が花束みたい。
テラコッタは悪くないけど、シャガールとの相性がベストとは言えない気がする。
《青い婚約者たち》1954年 彩色陶器 シャガールのイメージは青。
《サン=ジャン=カップ=フェラ》1949年 グワッシュ・墨・パステル 青い画面。
《青い羽根の振り子時計》1949年 油彩 深い青の羽根。雪が舞う。 展示されている部屋の出口で振り返ると、ちょうど目に入る。
《通りの魚》1950年 インク・水彩 魚の右の黄色いのは何? ジャガイモ?
シュルレアリスム時代の作品がいい。なめらかなタッチ。好きだ。 《エルサレム(嘆きの壁)》1931年 油彩 《エルサレム》1932-37年 油彩 どちらも下に何か描いている。それを見える程度に塗りつぶしている。 そういう技か。 嘆きの壁はかげろうに揺れているようだ。これ本展いちばんかな。 こういう作品がもっと見たい。
《逆さ世界のヴァイオリン弾き》1929年 油彩 『旅と芸術』で見た 《世界の外のどこへでも》 1915-19年と 《二つの花束》 1925年を思い出す。
《ヴィテブスクの上に横たわる裸婦》1933年 油彩 後姿の美しい裸婦が、町の上に横たわる。
彫刻はいろんな素材のものがあったけど、大理石のものがよい。 《波の上のロバと鳥》1952年 大理石 《恋人たちと木》1969年 大理石 など、多数。 繊細な美しい白がシャガールに合っている。
白を意識したせいか、白い輪郭が気になる。 《《アシェルの一族》のためのヴァリアント》1960-62 墨・鉛筆・パステル 《過越祭》1968年 油彩 《アルルカン》1968-71年 油彩
けずってキャンバスの白が輪郭となっている作品もあった。 《紫色の裸婦》1967年
白黒作品、思いのほか魅力あり。 《画家と雄鶏》1953年 墨・水彩、和紙
版画は、柔らかい繊維のような、小さな線が集まってできている。 《『聖書』のための挿絵《カルメル山上のエリヤ》 (テリアード版『聖書』第2巻、版画86)》 様々なステートも興味深いが、なにより銅板に見入る。
《《野蛮人のように》『詩集』のための版画Up.11》 原版Aは長靴の形に切り抜いた木。
下絵にコラージュがほどこされたものがいくつか。 そこから本画を描き起こす。 自由さ。
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大理石ってこんなにきれいだったのね。本展最大の驚き。 白黒の磨かれた床のイメージしかなかった。
シャガールの大理石は、砂のなかから白いものだけ集めて凝縮したみたい。 白く光っていて、削り出した輪郭が細かな線でできている。
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製作年代順には並んでいない。 時期の近い作品同士は並べて見せてほしかった。
展示替えあり。 前期に見に行ったが、後期展示作品のいくつかが既に展示してあった。
図録。 ありました、が見ず。
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混雑状況報告。
空いてはいませんが、並ぶことはないです。 各作品の独占も、タイミングを待てばできます。
2017/10/05(木)訪問 |
◎シャガール 三次元の世界 開催期間:2017年9月16日(土)〜12月3日(日)
於・名古屋市美術館2017年12月14日(木)〜2018年2月18日(日) 於・青森県立美術館2018年3月10日(土)〜5月6日(日)
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