ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

於・東京都美術館

目撃談 (201739)

 

反射する花魁

 

  

 

《花魁(溪斎英泉による)》1887/88年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

本展を象徴する作品。

浮世絵を詰め込んだわりには、調和が感じられる。

右側の竹が印象に残る。

 

溪斎英泉《雲龍打掛(うんりゅううちかけ)の花魁》 18201830年代 木版、紙(縦大判錦絵、縦2枚続) 千葉市美術館蔵

会場二周目、帯の緑に目が行く。

いちばん上の着物は黒か? 下に重ねているのは緑。

 

ゴッホは帯も上下の着物も緑に塗っている。

 

久三郎効果か、緑、特に明るい緑、淡い緑、きみどり、が気になる。

没後40 伊藤久三郎展 ―幻想と詩情(横須賀美術館開)の目撃談

 

《三冊の小説》1887年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

楕円の板。裏には日本の貿易会社名が書かれている。看板として使われていた時の写真あり。

三冊とも厚く、紙がよれているように見える。

きみどり色の背景が気になる。

 

エミール・ベルナール《ポンタヴェンの市場》1888年 岐阜県美術館

何度か見ていると思うが、やはり魅かれる。

これも緑を使っている。

でも、この絵の場合は色より構図やふち取りが引力になっている。

 

《花咲くアーモンドの木》1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

枝が赤い。

先週見た熊谷守一を思い出す。

没後40 熊谷守一 生きるよろこび(東京国立近代美術館) の目撃談

 

《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》1888年 ポーラ美術館

明るくてきれい。橋もいい。

 

《サント=マリーの海》1888年 プーシキン美術館蔵

青がきれい。波頭の白がきわだつ。厚く塗った油絵具。塗るというより乗せたのか。

海の奥のほうは穏やかな青。

そして、ヨットの帆柱や船のふちに赤。

強く明るい。

 

葛飾北斎《冨嶽三十六景 / 神奈川沖浪裏》183133(天保24)年頃 株式会社ニトリ蔵

緑を探してみる。

舟をこぐ人たちの着物が緑かな?

照明おさえ目なので、よく見えなかった。

もっとも、木版画だから、版によっても違うんだろうな。

 

《種まく人》1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

手前の木は完全に浮世絵の影響を受けている。

背景はきみどり。

これは夕方の情景なのか?

 

《寝室》1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

再会。

没後120 ゴッホ展

前回は明るさに打たれるだけで終わったが。

今回は、床板の境目の緑に驚いた。

 

《タラスコンの乗合馬車》 フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年 油彩・カンヴァス ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵 (プリンストン大学美術館 長期貸与)

車輪がカクカクしている。乗り心地は悪そうな馬車。

これは雪道か。車輪とともに白く光る。

 

《夾竹桃(きょうちくとう)と本のある静物》1888年 油彩・カンヴァス メトロポリタン美術館蔵(ジョン・L.・ローブ夫妻寄贈)

偏執的に描かれた葉。花に目がいかない。

背景はきみどり。

 

 

耳きり事件と入院のせいなのか、このあとから明るさが抑えめになる。

 

《オリーヴを摘む人々》1889年 クレラー=ミュラー美術館

緑。うねる。

 

《ヤママユガ》1889年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

蛾とか蝶とかは、ゴッホらしいモチーフではないかも。

となると、浮世絵の影響か。丁寧にもようを描いている。

そしてきみどり。

 

最後の展示室の三作品は圧巻。

 

《下草とキヅタのある木の幹》1889年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

幹をはうツタは、力強くうねる。

そこここに生命が潜んでいるという恐怖。

 

《草むらの中の幹》1890年 クレラー=ミュラー美術館

これも再会。前回は木の根元の黄色い花に目が行った。

今回は、幹の色分けと、下草のきみどりだ。

 

《ポプラ林の中の二人》1890年 油彩・カンヴァス シンシナティ美術館蔵 (メアリー・E.・ジョンストン遺贈)

ポプラは青みがかっている。

二人の顔は緑がかっている。

下草はきみどり。林の奥は濃い青。

 

 

ゴッホに憧れる人びとの巡礼。

 

里見勝蔵《オーヴェルの正面》1924(大正13)年 個人蔵

ヴラマンクの影響が見て取れる。

 

佐伯祐三《オーヴェールの教会》1924年 油彩・カンヴァス 鳥取県立博物館蔵

空がヴラマンク。

佐伯祐三は、ヴラマンクともゴッホとも系統が違うなあ。

建物というモチーフはこの人らしい。

 

斎藤茂吉もゴッホ巡礼者の一人だった。腑に落ちる。

 

 

 

浮世絵には、あまりはまらず。

浮世絵の緑はあまりよくない。

 

以前見た日本画で、緑が印象的なものがいくつかある。

《吉備大臣入唐絵巻》とか。

ボストン美術館 日本美術の至宝

 

日本画の岩絵の具の緑はよい緑。

 

浮世絵の絵具は何を使っているんだろう。

 

 

  

 

混雑状況報告。

 

まあまあ混んでいました。

 

チケット購入の受付には数人。

会場入場は行列なし。

 

会場内は入口に人が立ち止まり、通りづらい。

各階の展示室入口がみなその状態。

解説の量や配置に工夫が欲しい。

 

浮世絵、芳名録、写真、日記などの小さな展示品は、

近くで見ようとすると行列することもありました。ケース入りのものなど。

 

油絵などの大きめの作品は行列する必要はありません。

ただし、独占は幸運な数秒のみ。

じっくり見たい場合はその絵の前で粘るしかないでしょう。

 

特設ショップも混んでいて、通り抜けづらかったです。

レジには数人。

 

二周。

 

 

 2017/12/15(金)訪問 

   

 

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

 

於・北海道立近代美術館

開催期間:2017826() 1015()

 

於・東京都美術館

開催期間:20171024() 201818(月・祝)

 

於・京都国立近代美術館

開催期間:2018年1月20() 34()

 

     

    

  

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