至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
於・国立新美術館
の
目撃談 (2018の8)
はずれなし。すごいコレクション。 ちょっと混んでいるくらい、気にならなくなる。
|
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「アングル夫人の肖像」 1814年頃 これぞ幸せな女性の顔。 しかし、なぜ服が描きかけなのか。これは下絵で、完成作の夫人の肖像画が別にあるのか。 など思ったが、それでもとにかく顔がいいので、引き寄せられる。 簡単には通り過ぎることができずに、じっくり見てしまう。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「アルフレッド・シスレーの肖像」1864年 ルノワールが若い時に描いたシスレー、頬や手がもうルノワールの肌だ。
クロード・モネ「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」 1899‐1901年 モネのウォータールー橋、光を放っている。 やっぱりモネは水がいいなあ。 この絵から水と光を浴びる。
アンリ・マティス「雪のサン=ミシェル橋、パリ」 1897年 若いころのマティスの絵、これ本当にマティスなのか、という作品。でも迫力がある。
カミーユ・コロー「読書する少女」 1845‐50年 赤い上着に目がとらえられた。艶やかに光る赤。髪飾りも。 本展中ではこの小さめの作品に見入る人多し。 もう少し、角から離して展示してほしかった。あと10センチ。
ウジェーヌ・ドラクロワ「モロッコのスルタン」 1862年 赤と青のドラクロワ、スルタンは黄色、金色かな。 従者が主人にキヌガサを差しかけるのは世界共通かしら。モロッコのこれは丸くて小さめ。 スルタンのベルトの飾りが光る。王者のベルトも重要。
エドゥアール・マネ「燕」1873年 4点あったマネいちばんは燕。マネはやっぱり黒だ。燕はもちろん、二人の女、白と黒の衣装。
マネは印象派風の「ベルヴュの庭の隅」もいい。帽子の黒いリボン。空はややベタッとしている。 「ワシミミズク」は羽がミミズクらしくていい。背景の板もいい。 顔がどこにあるのかわからなかったが。
カミーユ・ピサロ「ルーヴシエンヌの雪道」 1870年頃 ピサロの土はあまり好みじゃない。雪はいい。
アルフレッド・シスレー「ブージヴァルの夏」 1876年 シスレー2点中では断然こちら。水の色は気にいらないが、空、雲がよい。夏の雲。高揚感。
エドガー・ドガ「控え室の踊り子たち」 1889年頃 チュチュの裾が強調されて、布の質と光を感じる。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」 1880年 イレーヌ、青い目が印象的。ルノワールはまず肌だと思うが、この作品は目。 青い髪飾りが魚に見えた。となりに「泉」があるからか。 その「泉」の彼女も目がよい。
ルノワールは女性一人を描いた作品が真骨頂だと思う。 「夏の帽子」みたいに二人以上だと、どうもバランスが変。
ポール・セザンヌ「赤いチョッキの少年」 1888‐90年 長い腕については、ジャコメッティが『エクリ』で 「ビザンティン絵画でのそういった関係の方にいっそう近い」 「いっそう真実に思われる」 と書いていたのが思い出された。 しかし作品を前にすると、チョッキよりも長い腕よりも、大きな耳が気になった。
フィンセント・ファン・ゴッホ「アニエールのセーヌ川にかかる橋」 1887年 キャンバスに赤い枠が引かれている。なにか効果を狙ったのか。
フィンセント・ファン・ゴッホ「二人の農婦」 1890年 空の黄緑はへんな感じだけど、地面の緑は淡い色も濃い色もひかれる。 地面の白いのは雪?
フィンセント・ファン・ゴッホ「花咲くマロニエの枝」1890年 画面全体が白っぽい。やや角ばったうねりが全面にほどこされている。
今日のゴッホは白。
エドゥアール・ヴュイヤール「自画像」 1906年頃 額あたりの肌に魅力がある。近づくと、点描的な塗り方。 見つめ返したくなるまなざし。 耳、光が当たって赤い。
自画像は、アンリ・ファンタン=ラトゥールやゴッホもよかった。セザンヌもセザンヌ全開でよい。 でも本展の自画像いちばんはヴュイヤール。
ポール・ゴーギャン「肘掛け椅子の上のひまわり」 1901年 ゴーギャンのひまわり。再会。 花びらが強い。勢いのある筆。 ひまわりが入っている緑色のもの、キャプションによれば篭。 窓の外は海か。泳ぐ人たち。 窓辺に本。前回見たときは気にならなかったな。本の手前のものは何だろう。ベル?
この絵に近づくとき、「ゴーギャンよ、いいわね…」という声が聞こえた。心の中でうなずいた。
ゴーギャンはもう1点の「贈りもの」もよかった。ゴーギャンは人物がよい。
モーリス・ド・ヴラマンク「ル・ペック近くのセーヌ川のはしけ」1906年 何だかよいと思って見たらヴラマンク。 ヴラマンクは1点のみ。
ジョルジュ・ブラック「ヴァオリニスト」1912年 ブラック、3点あったけどやっぱりキュビズムのヴァイオリニスト。 絵の中央も額縁も金色に光る。
クロード・モネ「睡蓮の池、緑の反映」1920‐26年 モネ、最晩年の大きな睡蓮。花の赤みにひかれる。 水に浮かぶ睡蓮、水面に映る池のまわりの樹木、水中にただよう藻。 パラレルワールドここに統合さる。
ほかにもいい作品ばかり。
どれもよいが、本展いちばんはコロー「読書する少女」か。 ルノワールの青の少女はもちろんよかったが、コローの赤の少女のほうが印象に残ったから。
次点はマネ「燕」、ヴュイヤール「自画像」。
|
ゴッホの部屋、もちろん作品はよかったですが、配置はうまくなかったのでは。 入って遠いほうにある解説を読んでから回るルート。ゴッホの制作順に見ることになる。
でも、私を含めほとんどの人が逆回転。 一往復半したので、復路でようやく気づいた。
はやく見たいのよ。みんな。 だから入って近いほうから見ちゃうのよ。 混んでいると解説は飛ばす人も多いし。
いつも見やすい国立新なのに、混んでいても見やすい国立新なのに。今回はそこだけ残念。
|
混雑状況報告。
12時少し前、乃木坂駅側入り口。チケット購入に15人ほどの列。 入場制限なし。
館内は混雑していましたが、行列して見る必要はなし。 どの作品も独占は不可能。 よく見たい作品には、ゆっくり近づきながら全体を眺め、最前列中央に陣取ったら3秒凝視。
展示室内の椅子はほとんど満席。
9分半の映像コーナー、手前と奥に部屋二つ。 ちらっとのぞいたら、手前の部屋の椅子は埋まっていました。 混んでいるのと、作品を見るほうに時間をさきたいのとで、見ず。
一往復半、一時間半くらい。
2018/4/19(木)訪問 |
◎至上の印象派展 ビュールレ・コレクション 東京展 於・国立新美術館 開催期間:2018年2月14日(水) 〜 5月7日(月)
福岡展 於・九州国立博物館 開催期間:2018年5月19日(土) 〜 7月16日(月・祝)
名古屋展(名古屋市美術館開館30周年記念) 於・名古屋市美術館 開催期間:2018年7月28日(土) 〜 9月24日(月・祝)
|