生誕150年 横山大観展
および コレクション展
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目撃談 (2018の9)
横山大観(1868-1958)。 生誕150年、没後60年。
屈原 明治31(1898)年10月 会場入ってすぐに屈原。再会。 その顔つきに言葉を失う。 それからやはり鳥に目が行く。飛んでいる、というより、飛ばされている。鳥は、いかっている。
瀑布(ナイヤガラの滝・万里の長城) 明治44(1911)年頃 ナイヤガラ、青と白が盛り上がっている。 万里の長城、墨の色がよい。
焚火 大正4(1915)年3月 枯葉がよい。緑の葉よりずっといい。 火もよい。 寒山拾得の顔もいい。 しかし着物はぼかし過ぎだ。ウールのガウンを着ているみたいだ。あったかそうではある。 焚火の季節は寒いし、これでいいか。
群青富士 大正6(1917)年頃 金屛風に群青の富士はずるい配色だ。映えるに決まってる。 しかし白い雲がいいからまあいいか。
ちなみに放鶴 大正元〜2 (1912〜1913)年頃 も金に青。青は服。もちろん雲は白い。
大観は雲がいいから、富士が代表作、というか、富士描きにはまったのかな。
龍蛟躍四溟 昭和11(1936)年2月 この岩はいい。 やりすぎな感のある渦も、大観だからいい。 龍は、顔を擬人化しすぎだが、体はいい。 本展いちばん。 始めに目に入る左端がよくて、そのまま引き込まれた。渦みっつ。
この作品は、小下絵も展示。左端の渦は、ひとつでした。
春園之月 習作 昭和14(1939)年 春園之月 昭和14(1939)年 月も花も、習作のほうがよい。 本作の月は、変色したのか。というくらい変。あるいは、わざと暗めにしたか。 幹がよいのは本作。
海に因む十題のうち 波騒ぐ 昭和15(1940)年4月 これはいい水です。ちゃんと海だ。
野に咲く花二題(蒲公英・薊) 昭和17(1942)年9月 タンポポがよかった。ちょっと淡いか。 山種美術館でみたタンポポもよかったし、大観とタンポポは相性がいいのかも。 アザミのほうは、記憶に残らず。
生々流転 大正12(1923)年9月 序盤の岩は、岩壁か。迫力に感激。 真ん中あたりにある石灯籠の存在が気になった。ほど良い存在感。 岩壁、橋、石、鳥、牛、雨、渦。
ほか、波頭が山に見えてしまう絵があった。
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大観はうまくないがすごい。 ということを再確認した。
雲がよい。苦労して編み出した朦朧体がいきている。 ほかには岩がよい。 竹も。
動物は擬人化が過ぎる。ただ大観だから、これはこれでいいかと思える。
たまにうまかったりきれいにまとまっていたりすると、ほんとうに大観の作品かと疑ってしまう。 うまい作品は、だいたいらしくない作品だ。大観らしさがないと不満を感じる。
緑はあんまりよくない。大観の得意な色ではないようだ。 と思っていたが、 4階の「眺めのよい部屋」から眺めると、皇居とその周辺の緑、大観の絵の色に近かった。 石垣の苔とか。明らかに大観とはちがう緑もあったが。 雨模様だったせいかもしれない。
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コレクション展。
安田靫彦 大観先生像 1950 本日この近美のどこだかに展示されていた写真からすると、似ている。 より扱いにくそうな人物に見えるが。
前田青邨「石棺」1962 石棺の中で眠る大王。柔らかい色調。 環頭大刀、冠、髪形、衣服、くつなどの形に見覚えがある。 埴輪その他の古墳時代の出土品を参考に描いている。 袴の腿がまるく膨らんでいる。脚結の位置が高い。どう見てもひざより上。 埴輪のプロポーションをそのまま採用したらしい。 上着のあわせは埴輪とおなじく左前。 ミズラは紐でぐるぐる巻かれ、前に突き出すホッケースティック形。
安田靫彦の「居醒泉」1928 ヤマトタケルノミコトがモデルとのこと。 衣装はやはり埴輪を参考にしている。上着のあわせは左前。袴の腿ふっくら。 ただし、脚結はひざ下で結ばれている。ここはさらに知識を足したらしい。 投げだされた腕は細く、肘があいまいで、埴輪の腕を思い出させる。 振り分け髪にミズラ。 ヤマトタケルノミコトは古墳時代の人なのかどうかわからないが。
ああ 写真を撮ればよかった。 大観展の後期と併せて、もういちど見に行こうかな。
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混雑状況など報告。前期の2018/4/24(火)昼過ぎ訪問。
混んでいました。
チケットは並ばずに買えます。 館内は混雑しています。 大きめの作品が多いので、見づらくはなかったです。 独占は無理。
会場は三か所に分かれています。入口もチケットも別。 第一会場にはいる時にチケットを渡すと、 引き換えに第二・第三会場の入場チケットをもらえます。 第一と第二は一階。第三は二階。 それぞれ再入場は不可。
第一がいちばん広く、展示作品数が多い。一往復半しました。
第二、「生々流転」は低めの展示ケース内に水平に置かれています。 ケースに身を乗り出して真上から見ないとしっかり見られないので、まずは並ぶ。 一通り見終わってから、もういちど見たいところだけ、人と人の間から見ました。 隙間がないほどぎゅうぎゅうではなかった。
第三は二階、ギャラリー4。
大観展ショップは第三を見終わったところにありました。 なんでこんなところに。一階の出入り自由な場所にしてほしかった。 離れのショップでも、図録と一部のグッズを販売していましたが、全種はないです。
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◎生誕150年 横山大観展 東京展 会期 2018年4月13日(金)〜 5月27日(日)
京都展 於・京都国立近代美術館 会期 2018年6月8日(金)〜 7月22日(日)
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