ターナー 風景の詩
の
目撃談 (2018の22)
17才のターナー、すでに絵がうまい。 《マームズベリー修道院》 1792展示 水彩、インク・紙 17才 石造りの門や柱が立ち上がる。それはおそらくデッサンがしっかりしているから。 色合いのトーンも出来上がっている感じがする。
《カンバーランド州のコールダー・ブリッジ》1810展示 油彩・カンヴァス 35才 手前は水かな。他と違うざらざらの手触り。
《泥炭沼、スコットランド》 制作年不明 エッチング、メゾティント 雲で覆われているらしき空がよい。
《ブルーアム城》 1825 メゾティント 50才 虹がかかっている。
《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》 1827-28 水彩・紙 52-53才 羊がいる。大半が倒れている。よく見ると羊飼いも。 雷が落ちたらしい。ターナーの雷は淡くて、よく見ないと見えない。 そんなことよりも、ストーンがよい。ターナーは石が得意だ。
《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》 1829 エッチング、ライン・エングレーヴィング 54才 水彩と並べて展示。
《スタンフォード、リンカーンシャー》1828頃 水彩、グワッシュ、スクレイピングアウト・紙 53才 白い四角い塔が印象的。背景の空は青い。 ターナーの青は、どぎつさの一歩手前みたいな色。他の色とはトーンが違う。 傘をさす人びと。雨が降っているのか、上がったところなのか。 犬や馬もいる。 にぎやかだが、建物に目が行く。
《コールトン・ヒルから見たエディンバラ》 1819頃 水彩、鉛筆、グワッシュ、スクレイピングアウ ト・網目紙 44才 フォトスポットの垂れ幕になっていた。
なぜか作品名がなかったような。
エッシャーのよう、と思った部分。
《嵐の近づく海景》 1803-04頃 油彩・カンヴァス 28-29才 私のターナーのイメージだ。海、嵐、船。 黒い背景に、赤と白の旗が翻る。
《エディスタン灯台》 1824 メゾティント 49才 画面中央に立つ灯台、周囲は暗い。 小さな月。星も出ている。船も。ただし海は荒れている。
《凪》 制作年不明 エッチング、メゾティント 荒れていない海も描くのか。浮世絵みたいな印象。
《海と空の習作》1825年頃 メゾティント 50才 《波の習作》1840頃 水彩、グワッシュ・灰色の紙 65才 立ち止まってしまう。 習作がよいというのは本当にうまい人だということだ。習作を見なくてもわかるが。
《オステンデ沖の汽船》1840-41頃 グラファイト、水彩、スクレイピングアウト・紙 65-66才 晩年の特徴だという渦。海にも空にも。
《カレー沖の釣船(ドーヴァー海峡)》1830 メゾティント 55才 波に艶がある。
《20ヴィニェットのうちの1点―夏の夕べ(「希望の喜び」挿絵)》1835頃 水彩、鉛筆・紙 60才 本の挿絵。ターナーは挿絵画家としても人気だったそうな。 「神の霊妙な弓」、それは虹。 この絵は詩のほうを読みたい。
《キルカーン城、クラチャン・ベン山―真昼》 1801年頃 水彩・紙 26才 ここにも虹がかかっている。 肝心の城がどこにあるのかよく分からず。
《サン・ゴタール山の峠、悪魔の橋の中央からの眺め、スイス》 1804展示 水彩、スクレイピングアウト・紙 29才 悪魔の橋というが、橋も谷底に落ちそう。 ほんものの悪魔の橋より急角度に描いているらしい。実地の写真が並べてありました。 本展いちばん。
この作品、ポストカードとチケットホルダーあり。展示側もこの作品を推しているらしい。
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壁にターナーの詩。 キーワードをひろってみる。
『希望の虚偽』より「滅び」「台風」「生贄」「死」
試作より「無力感」
荒れ狂う暗い海は、冥界の引力か。
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虹、雷、嵐など、けっこうドラマを演出している。 でも演出過剰とは思わなかった。嘘くささとか、べたつきがない。 ターナーはいろんな面でうまいのでしょう。
海のイメージを持っていたが、石もよいということが分かった。 イギリスらしい石造りの建物は、ターナーのよいモチーフ。
人物はこの人向きのモチーフじゃなさそう。 ヌード展に人物ヌードのスケッチブックがあったけど、うまいのかどうかすらわからず。 ヌード NUDE —英国テート・コレクションより および コレクション展(横浜美術館)の目撃談
本展では、人物は風景の添え物。
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作品リスト。 番号順に並んでいない。展示順なのだとは思うが、探すのに一苦労。 制作時のターナーの年齢が書きこまれている。計算するのは面倒なので、ありがたい試み。 わりに若い時の作品に好きなものが多いことがわかった。 イギリスの地図付き。収蔵品コーナーのリストも付属。
ちなみに、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館のサイト掲載リストは番号順。 年齢なし。地図なし。
分厚い図録がありましたが、分厚さにおびえて見ず。
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収蔵品コーナー。こちらもリストに年齢あり。
東郷青児《プロヴァンスの村》1970 油彩、カンヴァス 73才 ちょっとセザンヌ的な、面を強調した絵。
東郷青児《古城》1970 油彩、カンヴァス 73才 以前みたときも印象に残った作品。やはりいい。
ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》1879- 1980 油彩、カンヴァス 40-41才 赤いりんごと、黄緑色の丸い物体。青りんごなのか? 別の果物か? 壁のもようが気になる。壁紙なのか。
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888 油彩、カンヴァス 35才 さわりたいひまわり。背景は黄緑。
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混雑状況報告。
そこそこ混んでいました。
チケット購入に並ぶのは数人。 入館は並ばず。 展示室内、最初の部屋がいちばん混んでいました。 波があって、ぽっかりあいたときには作品を独占できます。
さっと二往復半。
2018/6/8(金)訪問 |
◎ターナー 風景の詩 開催期間:2018年4月24日(火)〜7月1日(日)
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フォトスポットのとなり。
コクーンビルが見えます。