長谷川利行展 七色の東京

於・府中市美術館

目撃談 (201823)

 

  

公式サイトより。

『長谷川利行(はせかわとしゆき、1891-1940)、通称リコウ。』 

はせ「が」わだと思い込んでいた。はせ「か」わだったのか。

 

『二科100年展』で《酒売場》1927年が印象に残った。

ハセカワリコウの作品をまとめて見ることのできる機会なので来てみた。

 

というレベルで鑑賞。

後期のみ。

 

再会する。

《酒売場》1927

本展ではそこまで印象強くはなかった。ほかがすごいからか。

 

《汽罐車庫》1928年頃

空がすてき。空気の色と量感。

赤い車庫が引き立てる。

なぜか列車にはぜんぜん目が行かない。

 

《カフェ・パウリスタ》1928

《カフェ・オリエント内のスタンド》1928

どちらも照明の傘が立体的でひかれた。

《カフェ・パウリスタ》は屋内だろうが、赤く色づいた木の下で開店準備をしているように見えた。

 

《靉光像》1928

青が基調。戸惑ったような顔。

 

《岸田国士像》1930

黒い服。ポケットチーフ。わざわざ礼服を着てもらって描いたのだろうか。厳しめの顔。

 

《水泳場》1932

解説を読まないと何が描いてあるのかすぐにはわからない。

プールの向こうに隅田川。色が違う。

水より空の色がいい。青・白・黄。煙?

水浴のあかい人たちは腰に手を当てる。ひじあり。

 

《矢野文夫氏肖像》1933

川面に映る詩人のおもかげ。

といった雰囲気なので、亡き人を思い出して描いたかと思ったが、

矢野文夫は利行亡き後その業績をまとめた人。

順序が逆だったか。

 

《熊谷守一像》1935年 水彩

緑基調。目は黒く影のよう。ひげで守一とわかる。

 

《荒川風景》1935

本展では一番大きいガラス絵。

利行の絵を立体映像化したような、不思議な立ち上がりかたで目に映る。

展示台が斜めだったせいもあるかもしれない。

 

 

《カフェ・オリエント》1936

上部の色がよい。白、青、赤、黄。

手前の椅子の背、右側の二人、存在感のバランスがいい。

入りやすそうなカフェ。

 《カフェ・オリエント》が本展いちばんかな。

 

本展では、ガラス絵ごっこができる。

名刺サイズの絵と、リコウのシルエット入りカバーを重ね、裏にテープを貼る。

はみ出ないようにテープを貼るのに手こずる。テープは短めがよい。

絵は三種類。

素敵なおみやげ。粋な府中市美術館

 

《カフェ・オリエント》でガラス絵ごっこ。

背景は本展チラシ。

 

 

ガラス絵は、ガラスの裏側に描く。左右逆になる。

利行はガラスを正面に向け、裏に手を回してさっと描きあげたそうだ。

イニシャルも反対に書く。といっても「TH」だから「HT」と書けばよい。

「製作年不詳」が多いのは、さすがに書き込みにくかったせいか。小さいもの多し。

 

ガラスの四隅は、割れにくいよう初めから少し欠いておくらしい。

 

《サーカスの女》油彩、ガラス 製作年不詳

ブルーグレー。お腹は黄色。

 

《裸婦》油彩、ガラス 製作年不詳

赤の上に横たわる裸婦。胴は白い。

胸と顔に赤をのせる。

血の色に近いが、殺人現場という感じは持たなかった。

  

《白い背景の人物》1937

この5人は誰なのか。リコウも入れてみた。

 

本展開催の直前に発見された作品らしい。結構大型の絵。

顔がアップで並ぶ構成は珍しい。

緑がかった白。

 

《裸婦》1938年 油彩

白い画面。輪郭線はグレー、赤、黄。

裸婦像では一番。

 

《パンジー》1938

白、黒のような紺、赤、黄、青緑、グレー。

空の紫にひかれた。

 

 

 

リコウの筆づかいを堪能。

そして色。白のイメージだったが、本展では黄色がよかった。次いで赤。青。

 

展示の最後のコーナーに利行の言葉いくつか。

絵を描くことは生きることより価値がある

生きることは絵を描くことより価値があるだろうか

といった趣旨の言葉があった。

これと信じる道がなければ人は歩けない。

 

歩いた人。

 

 

完全に製作順に並んでいるわけではない。

 

カバーの反射がかなり気になって正面からは見られない作品と、

カバーがあっても反射がそれほど気にならない作品、違いは何なのか。

カバーなしの作品も。代わりに柵があるものの、じゅうぶん寄って見ることができた。

  

図録。あれども見ず。

 

ポストカード、《水浴場》が二種類。少し色が違う。筆触の写りぐあいも違うようだ。

混乱したのでどちらも入手せず。

 

 

常設展。

 

吉田博《川のある風景》1896

川はいまひとつ。空がよい。

 

小山正太郎《猿橋》明治期

アーチ形の紙に鉛筆書き。ところどころ白く抜けてしまっているのがかえっておもしろい。

 

中西利雄《競馬場》1934

マルケを思わせるタッチ。赤白は旗か。

 

倉田三郎《銚子外川》1927

こちらに背を向けてベンチに座る帽子の男二人。ちょっとマグリットの世界に近い。

 

瑛九《真昼》1958

明るい点描の真昼。

 

鶴岡政男《ポコと友だち》1963

どれがポコか。

 

佐藤昭平《黒い雨》1962

黒い雨を黒い傘で受ける。

 

ほかよかったもの。

小林清親《お茶の水蛍》1880

川上澄生《カフェーの女》1914

牛島憲之《町工場》1960年、《灯台のある島》1984年、《ある日》1990

 

 

  

 

混雑状況報告。

 

ゆったり見られます。

運がよかったのか、気に入った絵を5分ぐらい独占できました。

 

常設展に至っては、部屋ごと独占できます。

 

 2018/6/21(木)訪問 

   

 

長谷川利行展 七色の東京

於・府中市美術館

開催期間:2018519日(土)〜78日(日)

 

     

 

 

 

 

紫陽花とリコウ《カフェ・パウリスタ》1928

 

紫陽花とリコウ《水浴場》。

 

雨上がりの若林奮《地下のデイジー》とリコウ《水浴場》。

 

 若林奮 飛葉と振動(府中市美術館) の目撃談

二年半前。

 

    

  

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