常設展

於・香取市文化財保存館

目撃談 (201827)

 

みずから明かりをつけて入室

 

  

ひと部屋のみとはいえ、展示品が充実しています。

城山1号墳の出土品が中心の展示。

 

まずは埴輪。

城山1号墳では、下総型とそれ以外の埴輪が一緒に出土している。

 今回はその二種類を見たくて来たが

来てみたら

型など吹っ飛ばす衝撃を受けた。

 

それは

この家形埴輪。

 

上があいてます。屋根開放型の家形埴輪は見たことがない。

 

渡されたカツオギから、突起がのびる。

  

ところどころに粘土粒。鋲的な表現。

粘土粒のついた家形埴輪は神奈川県立歴史博物館でも見たが。

 

こう見ると、よろい?

甲形埴輪もしくは甲を着た人物埴輪を作ろうとして、

途中で気が変わって

入母屋造りの家形埴輪になった?  

そう思って見ると、屋根左右の透孔から腕がのびてきそう。

 

透孔といえば、よく見ると壁部分の透孔の位置も不自然だ。

 

ところで、この家形埴輪は下総型? それ以外?

同じような家形埴輪は他で出土しているのだろうか。

疑問は尽きない。

 

隣にたたずむ朝顔円筒埴輪にはくびれがない。

オリンピックの聖火トーチにこんな感じのものがあったような気がする。

 

さまざまな脚部が並ぶ中に

 

 

彼が寝かされている。

彼は下総型じゃない。

 

ところどころ赤い色。

外に跳ねるミズラ。上げミズラかな。

小さくあけた口の周りは、少し盛り上がっている。

たすきが前で交差しているように見える。

 

 

 

人物脚部の影には彼女。もっと前に出してあげて。

彼女も下総型じゃない。

額の赤いラインはハチマキかな。

 

 

大きく結った髷の曲線。

 

 

出ました

これぞ下総型人物埴輪。

平べったい顔、細い目、つながった眉、棒のような鼻、ヘラのような手。

みんな似ているけれど、ひとりひとり違う顔。

彼は左右で表情がことなる。

横顔を撮りたかった。

 

 

柄が曲がった刀はなんだろう。

大刀? 刀子?

金属の出土品に柄が曲がった刀はない。

実物とは少し違うけど、楔形柄頭大刀とみていいのか?

 

胸に二重丸。なんの印か。

 

 

彼の冑は

衝角も眉庇もついていない。孔があいている。

代わりにハチマキ状の帯。

帯のところどころに何かがついているが、両端が欠けている。

 

 

全容を教えてくれるのは、別の男子埴輪。

冑のハチマキ状の帯には楕円形の板状の物体。外側に反る。

形はわかったが、素材や目的はわからず。

 

彼も胸に二重丸。

 

どちらの冑も、上に孔が開いている。

 何かつけてた?

孔の形からみて、乾燥用かな。

 

 

顔上部がないけれど

彼もきっと同じような冑をかぶっていたのでは。

おそらく男子と思う理由はふたつ。

今は足もとにあるが、もともと腰に佩いていたらしき刀が、ほかの男子の刀と同じ形。

帯を巻いている。ここの女子には帯がない。

 胸の二重丸は確認できず。

 

こちらも帯を巻いているので、男子だと推せる彼。

茫然としているかのようだ。

頭が欠けちゃったからか。

片目だけでも残っていてよかった。

ところで鼻が浮いているらしい。根本しか顔にくっついていないらしい。

胸に二重丸なし。

 

女子。困り顔。

 

髷は前が欠けてる。バチ形。板状。

側面の半円状のものはなんだろう。垂れた紐?

 

上衣は色が付いていたかどうか、わからず。

 

もうひとり女子。

こっちは困っていなさそう。

頭部が欠けているのに、なぜ女子とわかるかというと、

側頭部の半円状のものが、髷が残っていた彼女と同じだから。

 

両手をあげるポーズは、下総型ではめずらしい。たいてい下げる。

跳ね上がる首飾りの勾玉。勢いよく手をあげた、その瞬間か。

白い縦縞の上衣。

 

鋸歯紋のかぶりものの男子。

下向き三角は白く塗られているらしい。

彼の上衣も白い縦縞かな。

近くで見たい。

 いつか。

 

武人と脚部。どう組み合わさるのか。

脚部がふたつあるから、少なくとも2体はあったことになる。

 

残り方は悪いが、衝角がくっきりした冑。

甲は格子もよう。

顔上半分は復元かな。

あごは丸く立体的に見える。

口元はやさしい。

手に親指の表現あり。

たぶん、下総型じゃない。

 

 

脚部、円筒に乗った脚の足もと。

鋸歯紋と格子。赤と地色で塗り分けられている。

 

その脚部の足もとに、くさずりと脚の一部。 

鋸歯紋と格子の足もとだ。二本そろった。

 

二本足ということは、たぶん、下総型じゃない。

 

 

ここまでが城山1号墳の埴輪。

解説パネルによると、

城山1号墳は全長68mの前方後円墳。

墳頂に円筒埴輪、

墳丘中段に形象埴輪と円筒埴輪が組み合わさって並べられていたらしい。

具体的な配置図はなかった。

 

 

 

ほかの古墳の埴輪もありました。

 

堀之内4号墳の円筒埴輪と朝顔形円筒埴輪。

 円筒埴輪は下総型か?

下総型円筒埴輪は、三条突帯四段構成、底径:口径:高さ=124だそうな。

大体よさそうだけど、高さがちょっと足りないか。

右奥の円筒埴輪は、なめかけのソフトクリームみたい。

 

 

さて

これまで見た中で最大の口。

 

鴇崎(ときざき)天神台遺跡3号墳の馬形埴輪。

 

大きなため息?

 

轡の鏡板。f字形ではなさそう。J字形?

 

蹄がある。

 

馬の下総型もあるのだろうか。

 

 

追記。

屋根開放型の家形埴輪は見たことがない、と思ったが、芝山で見たかも。

『デジタル技術でせまる人物埴輪 −九十九里の古墳と出土遺物−』2017城倉正祥

を眺めていたら、屋根開放型らしき家形埴輪がたくさんある。

殿塚古墳・殿部田1号墳・小川崎台3号墳・木戸前1号墳など。

ただし家形埴輪を真上から撮影した画像はない。

城山1号墳の家形埴輪のように、粘土粒のついたものはなかった。

 

埴輪以外も、城山1号墳出土のものが中心。

 

三角縁三神五獣鏡(さんかくぶちさんしんごじゅうきょう)

 これは模造品だそうです。

城山1号墳の築造時期より300年ほど古いタイプの鏡。

なぜこの古墳にあるのかは謎。

 

「吾作」で始まる42文字が鋳出されているはず。

古墳時代の貴重な文字情報。実は展示室一番に展示されている。

「王」らしき文字がみえる。

鏡の上下がわからない。文章の始まりはどこ?

 

大刀

 卵形のつば。

ほか、環頭大刀もありました。

 

左:衝角付冑、中:短甲、右奥:肩甲、右手前:頸(あかべ)甲。

肩甲の曲線がきれい。

しかし

これを着けたとき、腕はどのくらい動かせるのだろうか。上げられるか?

 

どんな形だったのか。

 

布と歯。

布は「環頭大刀にともなう」とある。

骨が展示されていないということは、歯しかなかったのか。

歯は残りやすい。

布が残っているのはすごい。

ちなみに木棺の一部も展示されていた。

土壌のおかげか。残りの良い古墳だ。

 

 

 

ほか、

須恵器のハソウなどの土器、

大きな雲珠(うず)など、鉄地金銅張(てつじこんどうばり)の馬具、

鹿角装の刀子、

石室内に布をつるしていたらしき懸金具、

耳環(じかん)、銀やガラスの飾り玉、鈴、

石枕とそれに立てた立花(りっか)、

 などなどが、 一部屋に凝縮されていました。

 

 

 

 

解説プリントが置いてあります。

ありがたく頂戴いたしました。

「平成254月にリニューアル」「仮展示中」とのこと。

 

まだ中列のケースに空きがあるのはそのせいらしい。

 

そういえばプリントには家形埴輪が載っていなかった。

 

  

 

混雑状況報告。

 

独占。

 

 

 2018/09/09(日)訪問 

  

またね。

 

明かりを消して退室。

 

 

    

  

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