オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

於・国立新美術館

目撃談 (201830)

 

  

ピエール・ボナール(18671947年)。

 

じゅうたんを織るボナール。

逆光のボナール。

 

 

《庭の女性たち》 1890-91

4点セット。

「オルセーのナビ派展」で見たときもひかれた「猫と座る女性」がやはりいい。

オルセーのナビ派展(三菱一号館美術館)の目撃談

猫より女性より、草がいい。草で描く青海波が。

「格子柄の服を着た女性」の格子柄はコラージュ風。

写生ではないということを主張しているのか。

 

組み合わせた紋様のなかに、ちらっとのぞく生き物の存在。その比重。

 

《ヴュイヤールの肖像》1892

もこもこしたヒゲ。シルクハットの高さ。顔はわからない。

左下のカットはめ込み部分は何? ドアの表現?

 

ところで

ヴュイヤールは「オルセーのナビ派展」では私のMVPでした。

「ランス美術館展」の《試着》も「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」の自画像もよかった。

ランス美術館展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館) の目撃談

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション(国立新美術館)の目撃談

どこか、ヴュイヤール展を開催してくださいませ。

 

 

《黒いストッキングの少女》1893

黒いストッキングの腿に赤。ガーターベルト?

髪で顔が見えない。出会った頃のマルトらしい。

 

逆光で顔が見えない。

《親密さ》1891

《バンジョー奏者》1895

暗いとか怖いとかいうわけではない。

 

光には影がつきもの。ランプシリーズ3点。

《ランプの下の昼食》1898

《ランプの下》1898

《ランプの下》1899

 

《男と女》1900

男には女がつきもの?

光と猫の女。陰の男。

中央のついたては上があいている。つながる空間。

 

《フランス=シャンパーニュ》1891年 多色刷りリトグラフ

線の使い分け。輪郭とは。境界線とは。

 

《百人展》1896年 多色刷りリトグラフ

大胆な省略。もはや輪郭などない。

 

《浴盤にしゃがむ裸婦》1918

裸婦像の中ではいちばん。

水も、もこもこしている。

 

裸婦像のコーナーは色が明るく澄んでいる。

水。光る肌。

世界は色の集まり。

 

 

《ボクサー(芸術家の肖像)》1931

これだけ異色。

三角関係の修羅場の影響なのか。それとはまた別か。

本展の自画像はこれとスナップショットのみ。

 

《冬の日》1905

絵の中に絵。

後ろを向いて立つ女性の顔は見えない。

絵の中の女性は正面顔だがぼやけている。

 

逆光で顔があまり見えない。

《逆光の女性の頭部 あるいは 帽子をかぶった逆光の少女の肖像》1906

《バラ色のローブを着た女》1918

 

 

《テーブルの上の林檎の皿》1910-12

円いテーブルにかけたテーブルクロス、光が当たるところと影になるところ、曲線の境界線。

テーブルクロスは赤い格子。リンゴは赤リンゴより青リンゴのほうが多い。

この絵はよかったなあ。

 

《花》1933年頃

中央に花瓶と花。白。

何が描いてあるかということよりも、鮮やかさにひきつけられる。

遺作に通じるものがある。

 

《日没、川のほとり》1917

オレンジ色が目を引く。

熊谷守一を思い出した。境界線。

 

《アルカションの海景》1911

空。

 

《干潮の浜辺》1920

雲の量感。

 

《トルーヴィル、港の出口》1936-45

赤と青、海と陸の境界線。

 

《にぎやかな風景》1913年頃

空の色の混じりかた。木にピンク。

愛犬の名は「ユビュ」。

 

大型の作品は、色の濁りが気になる。

薄暗い部屋に飾るには、落ち着いていいかも。

 

 

《南フランスのテラス》1925

青と黄色。黄色が強烈。

 

《アンティーブ(ヴァリアント)》1930年頃

緑の混じった青い空。

遠景の上に置かれたピンクは花か夕焼けか。

海の濃い青。

手前の黄色と黄緑。

全体的に魅力があるけど、空がやっぱりいいな。

 

 

《花咲くアーモンドの木》1946-47

遺作。

鮮やかな青。

白とピンクで彩られた木。

地面はオレンジと、甥に塗らせたという黄色。

色が鮮やかで濁りがない。

 

アーモンドの花は早春に咲くらしい。夏はまだ遠い。

 

ただ、色の鮮やかさで言うと、なるほど夏の人。

 

最後に遺作を展示するのは珍しくはないが、

この絵がとにかく美しい絵なので

美しい幕切れを欲する民の国での展覧会としては正解の展示順と思う。

 

 

本展いちばんは《アンティーブ(ヴァリアント)》。

次点は《テーブルの上の林檎の皿》と《花咲くアーモンドの木》。

 

 

ほか。

 

輪回し。一度やってみたい。

 

ルオーも描いたジャリの『ユビュ王』、未読。一度読んでみたい。

ルナールの『博物誌』は読んだことがある。読んだというか、眺めたというか。

 

デッサンの線が、おもいのほか強い。

 

マルトはボナールなしでは生きていけなかったろう。

ボナールもしかり。

ルネの死は避けられなかったように思う。

 

光と影。男と女。夏の光線。逆光で見えない顔。

 

柔らかなじゅうたんに、音は吸収されていく。

 

 

 

 

ショップ。

 

図録やポストカードはもちろん、グッズの種類は多い。

ボナール作品はじゅうたんっぽいから、布ものやコースターなどは相性がいいかも。

ファイルなどのつるつるした素材のものは、触覚的に合わない。

どれも色の再現性はよくない。

 

挿絵がボナールのルナール『博物誌』(新潮文庫)があった。

ジャリの『ユビュ王』はあったかどうか、ちゃんと見なかった。

 

 

  

 

混雑状況報告。

 

チケット購入・入場はほとんど並ばず。

展示室内も並ぶ必要はなし。

 

とはいえ、そこそこ人が入っている。

独占は作品によるが最大1分くらい。

大型作品は無理でしょう。

 

 

 2018/10/5(金)訪問 

   

 

◎オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

於・国立新美術館

開催期間:2018926日(水)〜 1217日(月)

 

     

    

  

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