東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展

マルセル・デュシャンと日本美術

於・東京国立博物館 (作品リスト

目撃談 (201832)

 

 

マルセル・デュシャン(1887 - 1968)。

 

 

わたしにとってデュシャンはトランクの人。

2つくらい見たことがある。

 

2011年 アートとブックのコラボレーション展

2015年 ピカソと20世紀美術 の目撃談

2017年 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!(東京藝術大学大学美術館) の目撃談

 3つだった。正確には、トランクの中の箱。

本展で4つめ。

 

ほかに見たことがあるのは、瓶乾燥機(瓶掛け)。

2011年 シュルレアリスム展 ―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―

 

デュシャンの作品、というか活動全体をまともに見るのは本展がはじめて。

 

 

 

 

少年デュシャン。

 

その絵。 

《ブランヴィルの庭と礼拝堂》1902

 

うまい。

ちょっと輪郭がぼやけた感じの油彩。

 

デュシャンは自転車が好き。

特に車輪が好きらしい。 

 

車輪をつなごう。

 

これが限界。

 

輪回しがしたくてしょうがない。

 

《ピアノを弾くマグドレーヌ》1900

 

ピアノの脚の曲線がよい。

マグドレーヌは消えそうだ。

 

 

誰もが通るセザンヌを、デュシャンも通る。

 だが

 これはちょっと違う。

デュムシェル博士の肖像》1910

 

袖の部分がひび割れていた。手は大丈夫。

色によって絵の具の質が違うのか。

 

 《ソナタ》《ぼろぼろにちぎれたイヴォンヌとマグドレーヌ》《肖像(デュルシネア)》1911

 

キュビズム。

色のトーンなど、ちょっとブラックを思わせる。

初期のマグリットもこんなかんじだった。

 

 

《ギュスターヴ・カンデルの母親の肖像》1911-12

 

シュルレアリスム。

この系統の絵がもっと見たい。

 

だがデュシャンはとどまってはいない。

 

迎えた《花嫁》(1912年)は工業製品? 工場?

 

 

《チョコレート磨砕機No.11913

 

《チョコレート磨砕機No.21914

こちらは糸を使ってある。

 

ところで

チョコレート磨砕機ですと?

デュシャン、チョコレートはどこにあるの?

 

  

1914年のボックス》1913-14年 のうちの 五線譜の自転車乗り。

 

自転車に乗って、大ガラスに突進。

 

「大ガラス」と聞くと、ポーの詩『大鴉』のほうを連想するが

今日はデュシャンの「大ガラス」。

《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)東京版》

 東京版監修:瀧口修造、東野芳明 1980年(複製/オリジナル191523年)

東京大学 駒場博物館所蔵

 

なぜガラスなのか。

 

それで 

デュシャン 

チョコレートはどこにあるの?

 

 

裏も探してみる。

 

裏から見られることは考えて作ってなさそう。

 

じゃあよけいに、なぜガラスなんだ。

 

 

 

The1915

 

デュシャンは英語を学んで暗号を作る。

 

デュシャン。

Theはどこにあるの?

Theは★?

★はデュシャンのうしろあたま?

★はローズ・セラヴィ?

ローズ・セラヴィは★にいる?

 

二面性。

 

《アレンズバーグ夫妻のアパート内部、ニューヨーク》 チャールズ・シーラー 19195月以降

 

チョコレートの香りをかぐデュシャン。

チョコレートはニューヨーク?

 

『ザ・ブラインド・マン』第119174月、第219175

 

見えなくても匂いはわかる。

チョコレート、《泉》のとなりはいやだなあ。

 

 

『ザ・リトル・レヴュー』第111号 編集:マーガレット・アンダーソン、ジェイン・ヒープ 1925年春表紙イラスト:マルセル・デュシャン

ロトレリーフ(光学円盤)1935

 

自転車の車輪がゆがみだしたか。

 

ぐるぐる。

渦の向こうのデュシャン。

 

目が回りそうなので、映像はちゃんと見なかった。

 

チョコレートは溶けたの?

 

 

《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(グリーン・ボックス)》1934

 

箱はチョコレートに似合う。 

左下の写真はナスカの地上絵?

  

トランクの中の箱だ!

《マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの中の箱)》

 1935-41年、1963-65年(中身)、シリーズF 1966年版

 

赤い箱はチョコレートに似合う。

 

大ガラスと泉のミニチュア。

キングとクイーンも。

 

詰め合わせ、というところがチョコレートっぽい。

 

自分の作品を複製するデュシャン。

どれもオリジナルより小さい。

複製はオリジナルを超えない?

 

小さい《泉》は、わざわざ作るの大変そうだ。

もはやレディメイドではない。

そこまでしても、《泉》を箱に入れたかった。

 

複製されるものは、複製する人にとって重要なもの。

もの?

できごととか、歴史か。

そうなると、オリジナルか複製かは、もはや問題ではない。

 

箱はデュシャン。デュシャン史。

 

 

ところで

この窓はマグリットを連想する。

開けたい。

 

 

なぜ「トランクの」中の箱なのか。

どこへ運ぶのか。

巡回するデュシャン展。

 

 

《ポートレート No. 29 (二重露光:顔正面と横顔)

ヴィクター・オブサッツ 1953

 

コマ送りのキュビズム。

多面体のデュシャン。

 

立体を面でしか表せない写真・絵画。ガラスも。

 

 

《ウルフ・リンデによる《大ガラス》のレプリカ(1961年)を通して見た、イヴ・バビッツとチェスをするデュシャン、パサデナ美術館にて》

ジュリアン・ヴァッサー 1963

 

チョコレートよりヌードとチェスのデュシャン。

 

  

《《大ガラス》の前に立つデュシャン、フィラデルフィア美術館にて》

 ジャンフランコ・バルチェッロ 1966

 

ヒビの入った大ガラス。

チョコレートは割れた?

チョコレートを隠すデュシャン。

 

 

遺作の写真と映像。

遺作は複製できない?

 

 

 

チェス。

キングとクイーン。

マルセル・デュシャンとローズ・セラヴィ。

★。

 

階段。

ヌード。

写真。

 

自転車の車輪。

ロトレリーフ。

 

箱。

紐。

扉。

窓。

 

水とガス。

 

チョコレート?

 

 

 

撮影だいたいOK

 

一往復してから、ところどころで撮影。

 

撮影する人はそれほどいない。来場者の十分の一くらいか。

カメラを構えて次々に撮るタイプと、時々スマホで撮るタイプの二派にわかれる。

やや音が気になるカメラもあった。

 

終盤になってから気がついたが

撮影不可の写真の拡大コピーが壁紙となっていた。

壁紙を撮るのは大丈夫?

コピーのコピーはオリジナルのコピー?

 

レプリカ・複製・コピー、どう違うか。

版画はどうか。

「クローン文化財」というものもある。

素心伝心 ―クローン文化財 失われた刻の再生(東京藝術大学大学美術館) の目撃談

 

撮影していいものと、駄目なもの。

撮影したものを利用していいものと、駄目なもの。

改変不可の意味とは。

ヒゲを描いちゃダメってこと?

デュシャンはやってたじゃんって言っちゃダメ?

 

 

それはともかく

本展は、展示室の壁や部屋の区切りのアーチなどにコピーがうまく多用されていた。

新しい組み合わせが生まれる。

それを撮る、すなわち切り取る。

貼って切って貼って切って…

どこまでデュシャン?

 

 

ひと部屋あまったの? 的なおまけ展示あり。

 

 とはいえ

展示作品はどれも豪華。

その中から1点。

 

寿老 橋本雅邦筆 明治時代・19世紀

 

木の杖がしっかりしてそう。

背景は月か。

 

墨の線の使い分け。

ボナールの《フランス=シャンパーニュ》とつながる。

 

 

 

 

ボナール展といえば、締めがよかった。

ピエール・ボナール展(国立新美術館)の目撃談

 

デュシャン展のほうは、締めかたがよくない。

最後のおまけ部屋を改造したい。

 

作れば作品が「芸術」になるデュシャンは芸術家。

思想家または詩人でもあるデュシャン。

瀧口修造の訳を拾い読みした。

 

部屋の壁を、デュシャンの文章や写真のコピーで埋めたらどうだろう。床や天井も。

デュシャンの箱部屋。

デュシャンの脳内部屋。

デュシャンの脳内をのぞき見る。遺作につながる。

のぞくというより、入り込むかたちになるが。

 

結果、いろいろ考えることになったので、展覧会のコンセプトはいちおう成功か。

 

見る楽しみ、撮るたのしみ、考える楽しみ。

 

 

 

1階に下りたら、もう一つおまけがあった。

 

《国産初の陶製腰掛式水洗便座(復元品)》

2015年(オリジナル1914年)

 

無理やり《泉》に引っかけなくてもと思うが、

展示すること自体は博物館らしくていいと思う。

そもそも、TOTOミュージアム開館に合わせて復元されたそうな。

 

  

 

混雑状況報告。

 

どちらかと言えば、すいているほうでしょう。

しかし

大ガラスなどの大型作品を撮るときは人が入りがち。

 

 

 2018/10/18(木)訪問 

   

 

東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展

マルセル・デュシャンと日本美術

於・東京国立博物館

開催期間:2018102日(火)〜129日(日)

 

The Essential Duchamp 展巡回予定

韓国国立現代美術館(韓国・ソウル) 20181222日(土)〜201947日(日)

ニューサウスウェールズ州立美術館(オーストラリア・シドニー) 20194月〜8

※ 第2部 「デュシャンの向こうに日本がみえる。」展の作品は巡回いたしません。

 

     

    

  

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