開館15周年 特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ
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目撃談 (2018の37)
油絵はもちろん。 版画。 タピスリー。 七宝。 ステンドグラス。
版画。何度も作り直したらしい。
1 『ミセレーレ』1 神よ、われを憐れみたまえ、 あなたのおおいなる慈しみによって Miserere mei, Deus, secundum magnam misericordiam tuam., Miserere 1 1923年 エリオグラヴュール、シュガー・アクアティント、アクアティント、 ドライポイント、バーニッシャー/紙 57.5×42.0cm パナソニック 汐留ミュージアム
上は天使らしき丸い顔。 下半分のアーチのなかに、うなだれるキリスト。
4 『ミセレーレ』10 悩みの果てぬ古き場末で au vieux faubourg des Longues Peines., Miserere 10 1923年 エリオグラヴュール、シュガー・アクアティント、ドライポイント、 バーニッシャー/紙 56.5×42.0cm パナソニック 汐留ミュージアム
ルオーの家は顔に見える。讃美歌をうたう大きな口。
10 『ミセレーレ』34 「廃墟すら滅びたり」 « Les ruines elles-mêmes ont péri. », Miserere 34 1926年 エリオグラヴュール、シュガー・アクアティント、アクアティント、 ルーレット、ドライポイント、スクレイパー/紙 57.5×44.5cm パナソニック 汐留ミュージアム
これも下半分はアーチ形。歯を食いしばる人。 上は後光さすキリスト。 タイトルは古代ローマのルカヌスの叙事詩『ファルサリア』からの引用らしい。
1と10は、それぞれの廃棄された銅板も展示されていた。 斜格子線は、これはダメの印?
11 『ミセレーレ』46 「正しい人は、白檀の木のごとく 己れを打つ斧に香を移す」 « Le juste, comme le bois de santal, parfume la hache qui le frappe. », Miserere 46 1926年 エリオグラヴュール、シュガー・アクアティント、アクアティント、 ルーレット、ドライポイント、スクレイパー、バーニッシャー/紙 58.5×42.2cm パナソニック 汐留ミュージアム
タイトルはインドの説話集『パンチャタントラ』からの引用らしい。
ルオーはいろんな国のいろんな文章を絵に活かした。
19 「青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう」、 通称「青い鳥」 « à l'oiseau bleu crève les yeux, il chantera mieux », dit : « L'oiseau bleu » 1934年 油彩、グワッシュ、淡彩/透写紙 64.5×47.0cm 個人蔵(ルオー財団協力)
目を閉じる。 閉じたまぶたもルオーの要素。 青がきれい。
ほかにも、ちょっとだけ入った青がいい絵がいくつか。
27 聖顔(両面) La Sainte Face (double-face) 1928年 表・裏:グワッシュ、パステル/紙 23.5×19.5cm 吉井画廊 資料 福島繁太郎による箱書(《聖顔》〔no.27〕に付属) Écriture par Shigetaro Fukushima sur le couvercle de la boîte pour "La Sainte Face" (no.27) 墨/木 47.7×40.7cm 吉井画廊
箱書によれば、 ルオーは表に描いた後、絵具が裏ににじんでいるのをみて、興が乗って裏にも描いた。
ルオーは紙の上に描いた作品がけっこう多い。 油絵の具が盛り上がっているのはルオーの特徴だが、それだけでなく、 へこんでいる部分があるのが気になる。削れているというかしぼんでいるというか。 どうやっているのだろう。
33 聖顔(聖骸布) La Sainte Face ( Suaire ) 1937年 ボーヴェ縫いによるタピスリー 90.0×76.0cm ジョルジュ・ルオー財団、パリ
赤い目。 顔の縁取り。 さわりたい。 欲しい。もう少し小さければ。
44 アンドレ・シュアレス著、 ジョルジュ・ルオー挿絵(色刷銅版画と木版原画) 『受難』(アンブロワーズ・ヴォラール出版、パリ) André Suarès, eaux-fortes et dessins sur bois de Georges Rouault Passion, Ambroise Vollard Éditeur, Paris 1939年出版 45.0×34.0cm パナソニック 汐留ミュージアム
長い服の背中がハケ目のよう。
45 『受難』3 渡り職人 Chemineau, Passion 3 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント/紙 29.8×20.4cm パナソニック 汐留ミュージアム
筋肉のついた背中。 ルオーは筋肉の画家。
キリストは白をまとって表される、と言われないと気付かない。
58 キリストの頭部 Tête de Christ 1939‒1945年 油彩、グワッシュ、インク/紙(麻布で裏打ち) 15.0×24.0cm 個人蔵(ルオー財団協力)
目を閉じたキリストの斜めの頭部。 正面顔とは違う迫力がある。 小さな横長の絵。引き込まれた。
63 飾りの花 Fleurs décoratives 1950年 油彩、インク/紙(格子状の桟の付いた板で裏打ち) 45.0×32.5cm 個人蔵(ルオー財団協力)
額と一体化した絵。花の絵の中ではいちばん。欲しい。もちろん額ごと。
65 オレンジのある静物 Nature morte aux oranges 1953年 油彩/紙(格子状の桟の付いた板で裏打ち) 34.0×47.0cm 個人蔵(ルオー財団協力)
ルオーの花以外の静物画はあまり見たことがない。 オレンジが魅力的でいい。
資料 2016年4月に、教皇より青年信者に贈られた十字架 Croix offerte du pape aux jeunes croyants en avril 2016 パナソニック 汐留ミュージアム
ルオーの描いたキリストの顔が十字架となっている。 ルオーがもらった勲章も同じケース内に展示されていたが、だんぜんこっち。
81 秋 または ナザレット Automne (dit aussi Nazareth) 1948年 油彩/紙 68.0×105.0cm ヴァチカン美術館
ナザレットはキリストの故郷。 キャプションに「夕暮れ時の誰もが招かれるユートピア」とあった。
84 キリスト教的夜景 Nocturne Chrétien 1952年 油彩、墨/麻布 97.0×65.2cm ポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館
夜景ということはかがやく天体は月だろう。輪がかかっている。月暈か。
ルオーの絵は筋肉質。 精神と肉体が一致していて、ゆるぎない。 ルオーの絵がエネルギーをくれるのは、そのあたりが理由か。
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展示室内、基本的には撮影不可ですが、本展では撮影OKゾーンあり。
計4点が撮影可能。
61 飾りの花 Fleurs décoratives 1947年 油彩/紙 56.0×40.0cm 個人蔵(ルオー財団協力)
暗めの色使いだが、花だけ明るい。
62 飾りの花 Fleurs décoratives 1947年 油彩/紙(麻布で裏打ち) 56.0×40.1cm パナソニック 汐留ミュージアム
花より額に目が行ってしまう。
64 盛り花 I Bouquet I 1949年 ステンドグラス 87.0×62.8cm ジョルジュ・ルオー財団、パリ
70 キリスト十字架像(ルオーにより着彩) Crucifix, rehaussé par Rouault 17世紀 木彫、着彩 61.0×34.0×7.0cm(台座:18.0×8.0cm) 清春白樺美術館
油絵の61 飾りの花を、ステンドグラスの64 盛り花にしたらしい。
十字架に色を塗ってしまうルオー。 だいじょうぶなのか。 ルオーだからいいか。
そして
床に
あらわれては
消えていく。
ステンドグラスから直接投影されているわけではないようです。
パナソニックのあそび。
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まだまだルオー。
1階で「ポスターで振り返る『ジョルジュ・ルオー企画展』」展を開催中。
いくつかは見ているものの、見ていないもののほうが多い。
もう一度やってほしいのは
「ルオーと白樺派」と「ユビュ —知られざるルオーの素顔—」かな。
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混雑状況報告。
なかなか盛況も、作品独占は10秒くらい可能。
2018/11/02(金)訪問 |
◎開館15周年 特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ 開催期間:2018年9月29日(土) 〜12月9日(日)
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