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駒井哲郎 ―煌めく紙上の宇宙

および コレクション展

於・横浜美術館

目撃談 (201840)

 

 

  

昨年の展示の続きを見に行く気分。

駒井哲郎 夢の散策者(埼玉県立近代美術館)の目撃談

 

シャルル・メリヨン2点。

駒井哲郎はこの人の「幾何学的な平衡感覚」に驚いたという。

それがあってこそ真の銅版画だ、と思っていたらしい。

 

情緒や抒情へのアレルギーがあったようだ。

弱いというか、流されてしまうようなイメージを持っていたのか。

 

情緒自体が問題なのではなくて、理性や客観性とのバランスを失いたくない、というところだろう。

 

詩と向き合うことで、情緒や抒情への抵抗が解消されたように感じる。

自分の内部での無駄な抵抗がなくなったことで、駒井哲郎らしい作品が作られ、残された。

 

 

駒井哲郎の師匠の一人。

恩地孝四郎ポエムNo.3 1944

 

やっぱり好きだな。

恩地孝四郎展(東京国立近代美術館 の目撃談

この青、この曲線、このタッチ。曲線からなる、このかたち。

 

 

R夫人像》1971 アクアチント、エッチング

 

1950年には、レースを出すやり方がわからず、仕方なしにレースモノタイプにしたとのこと。

その後、長谷川潔から手法を聞き出し、レースの背景を作りあげた。

でも、レースより、前歯と帽子の鋸歯紋が気になる。

 

夢。

《花になった閃光現象》1949 エッチング、アクアチント、ドライポイント

《夢の推移》1950 メゾチント

など、シリーズが並ぶ。

夢と目の関係。

 

夢に、具象的なモノを組み合わせることで、描き出すことができる

というようなことを言っていたらしい。

たしかに、夢を夢のまま人に見せることはできない。

 

 

《樹木 ルドンの素描による》(刺しゅう「愛しあふ男女」フロントピース)1956 エッチング

 

ルドンの樹。

ルドンとその周辺―夢見る世紀末

 

《樹木》1958 サンドペーパーによるエッチング、エッチング、ドライポイント

これは抽象化された木なのか。ひし形。

 

本展の第2サブタイトルは「ルドンを愛した銅版画のパイオニア」

 

しかしルドンの強さ。

ルドンの絵は、人類の知らない世界に支えられているかのようだ。

画面の背後から画面のこちら側に、迫ってくる強さを感じる。

 

そしてルドンはキリストも仏陀も描く。

 

 

オディロン・ルドン《二人の踊女》製作年不詳 油彩

 

どっちも踊っていない。

座る女の手にした赤い樹が光っている。

空も金色。女たちは逆光か。

逆光からボナール展を連想する。

ピエール・ボナール展(国立新美術館)の目撃談

 

 

駒井哲郎作品は、宇宙遊泳するようなフワフワ体験。

 

《束の間の幻影》1951 サンドペーパーによるエッチング

 

似たものを映像で見た、と思ったらタイのチェンマイのコムローイという熱気球だ。

それから、とうろう流しも思い出させる。

つかみどころのない黒い空間に、ぼんやりとした光。

強烈な光線ではないところが大事。

 

詩人とともに創作するのは性に合っていたらしい。

なかでも、安東次男と共同制作した詩画集『からんどりえ』、『人それを呼んで反歌という』。

ぜんぶ見たい。

 

『鵜原抄』(詩:中村稔/挿画・装幀:駒井哲郎/思潮社/作品1点所収)1966

樹木の手前に石。

 

《崩壊感覚》(版画集『Composition de la Nuit』より)1969

野間宏の詩集のために作ったものらしい。

タイトルの強さもあるが、ほかの駒井作品とはちょっと違う感じがした。

 

《岩礁にて》1970 サンドペーパーによるエッチング

勾玉のような形と、前方後円墳のような形が気になった。

 

 

 

さて

本展のメイン作品

題名不詳 1971年頃

 

この青は恩地孝四郎の青に似ている。丸さも少し似ているか。

 

画面全体は恩地孝四郎より緊密。

技術を駆使して、納得いくよう仕上げたかんじ。

 

宇宙空間には、見えない何かがしっかり詰まっている。

それが浮かぶ星を支えている。

 

 

振り返ると、展示サブタイトルが一つも間違ってないと思う。

 

 

 

企画展は撮影不可。

画像はチラシから。

 

コレクション展は撮影可。

 

 

コレクション展

 

 

五姓田義松《鶏》製作年不詳

鶏とひよこ。

 

画布は切株?

 

鶏つながりで

 

小林清親《鶏にトンボ》1880

 

トンボにびっくりする鶏。

 

鳥つながりで

 

 

吉村益信《大ガラス》1969

  東西の美人を引き連れている。

 

脚が大きすぎるのが気になるが

おかげで安定性は高まる。

 

その目は

 

何を見ているのか

 

ピカソとウォーホールか。

 

 

今村紫紅《熱国の巻(小下絵)》 1914

熱国はインド。

 舟はやはり人を感じさせる。

タッチは違うが東山魁夷展を思い出す。

生誕110 東山魁夷展(国立新美術館)の目撃談

 

ポール・ゴーギャン《ナヴェ・ナヴェ・フェヌア(かぐわしき大地)》1893-94

多色木版、ステンシル

 

縁取られ、タペストリーのよう。

 

タヒチ滞在記『ノア・ノア』のひとつらしい。

 

取材と想像力。

紫紅《熱国の巻》と通じるものがある、との解説。

 

 

 

  

 

混雑状況報告。

 

駒井哲郎展はほどほど、コレクション展はぼつぼつ。

 

 

 2018/11/30(金)訪問 

   

 

◎駒井哲郎 ―煌めく紙上の宇宙

および コレクション展

於・横浜美術館

開催期間:20181013日(土)〜1216日(日)

 

     

    

  

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