コートールド美術館展 魅惑の印象派

於・東京都美術館作品リスト

目撃談 (2019020)

 

  

サミュエル・コートールド(18761947)、イギリスの実業家。

彼のコレクションを展示しているロンドンのコートールド美術館が改修工事中なので貸し出され来日した作品群。

印象派・ポスト印象派の時代。

その頃のイギリスでは印象派はあまり評価されていなかったらしい。

コートールドは自分の目の方を信じた。

 

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く桃の木々》1889年 油彩、カンヴァス

雲が重い。落ちてくる。

 

画像はチラシより。

 

クロード・モネ《アンティーブ》1888年 油彩、カンヴァス

山と街らしき影、ピンク色が目を引く。

 

クロード・モネ《花瓶》1881年着手 油彩、カンヴァス

モネの花瓶ものはあまり見ない。というより、あまりいいものを見たことがない。

花瓶にぎゅうぎゅうの花。

テーブルや背景、いろんな色が置かれている。

華やかでボリュームのある絵。なかなかいいと思うが、モネっぽさは弱い。

 

ポール・セザンヌ《アヌシー湖》1896年 油彩、カンヴァス

セザンヌはごつごつした山のほうがイメージだがこれは水。そして緑。

中央に水平線。水はちゃんと水らしい水。

静けさ。

本展のセザンヌ作品ではいちばん。

 

ウジェーヌ・ブーダン《ドーヴィル》1893年 油彩、カンヴァス

盛り上がる雲。広い青い空。

展示室の壁も天井も突き抜けるような感覚。見ているだけで味わえる爽快さ。

さすが空の王者。

バレル・コレクションで見た作品もよかったが、この絵のほうがいいかも。

印象派への旅 海運王の夢 ―バレル・コレクション―(Bunkamura ザ・ミュージアム)目撃談

ところで、高橋由一の《江の島図》に似ていると思った。

画像を確認すると、そうでもない。

海と人びとと空というモチーフは共通している。

一番違うのはやはり空。

土地の気候が違うから? 画家の画風のせい?

 

エドゥアール・マネ《アルジャントゥイユのセーヌ河岸》1874年 油彩、カンヴァス

川の青さが深い。

船の灰色と帽子のリボンの黒はマネっぽい。

 

クロード・モネ《秋の効果、アルジャントゥイユ》1873年 油彩、カンヴァス

中央に水色の水平線。

木々は銀杏のような黄色。

この絵の解説で、《アトリエ船》(1874年、クレラー・ミュラー美術館所蔵)が紹介されていた。

写真はあったが、実物が見たい。

構図から東山魁夷の絵を思い出した。

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モネの方が明るい。

 

アンリ・ルソー《税関》1890年頃 油彩、カンヴァス

税関はルソーの職場だった場所だが、キャプションによると、現実にはない風景だそうだ。

ルソーの考えるところの税関。

 

ピエール=オーギュスト・ルノワール《春、シャトゥー》1873年頃 油彩、カンヴァス

ルノワールの風景画。

若草色ににじむ、帽子の誰か。

抱えているのは花?

 

エドガー・ドガ《舞台上の二人の踊り子》1874年 油彩、カンヴァス

下から光が当たっているよう。どういう舞台照明? 床が光を反射しているのか?

 

エドゥアール・マネ《草上の昼食》1863年頃 油彩、カンヴァス

オルセー美術館所蔵の《草上の昼食》の背景を検討するために描いたものらしい。

でもこれでちゃんとした一作品。

右の男の帽子や服や靴の黒。

左の女の顔はこちらを見ているのか、それとも手前の花を見ているのか。

手前の花はピンクや赤や黄色。かごらしきものからこぼれ落ちている。

樹の幹のこげ茶もよい。

 

エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 油彩、カンヴァス

本展の看板作品。

手前の花瓶のバラがよい。女性の濃い紺色の服がバックになっているので、淡い黄色とピンクのバラと花瓶の透明感が際立つ。

ガラスの鉢に盛られたオレンジの艶もよい。

女性の表情は読み取りにくい。そこが良い。

彼女と目が合っているであろう鏡の中のシルクハットの男になるにはどうしたらよいか。

額の左縁にはりついて絵を見たら、彼女と目が合うか。

しかし自分では背が足りない。

 

オノレ・ドーミエ《ドン・キホーテとサンチョ・パンサ》1870年頃 油彩、カンヴァス

ドン・キホーテはガリガリに痩せている。肩のラインが骨っぽい。馬もガリガリ、特に脚。

茶色に灰色の画布。製作途中の作品らしい。途中だからこそ制作意図が垣間みえるように思う。

 

エドガー・ドガ《窓辺の女》18711872年 油彩(精油で溶いた絵具)、紙

ドガっぽくない。

顔が見えない。手はふっくら。

 

アメデオ・モディリアーニ《裸婦》1916年頃 油彩、カンヴァス

青銅色の背景。下書きも同じ色らしい。

右後ろの赤いものは、ソファか。

本展でいちばん印象に残った作品。

92.4×59.8cmと小さくはない作品だが、それ以上に広い空間を支配しているように感じた。

 

シャイム・スーティン《白いブラウスを着た若い女》1923年頃 油彩、カンヴァス

垂れ目で上目遣い。

スーティンの人物画は有無を言わさぬ迫力がある。

風景画よりは、画面に安定感がある。

 

エドゥアール・ヴュイヤール《屏風のある室内》19091910年頃 油彩(精油で溶いた絵具)、厚紙と板に貼られた紙

屏風の淡い色が面ごとに違う。右から水色・オレンジ・緑・白っぽい緑か。

着替えているらしき女のほどよい存在感。

 

1点だけのモディリアーニ、スーティン、ヴュイヤール、どれもよかった。もっと見たい。

 

ちなみにボナールは3点。去年いいものをたくさん見てしまったせいか、本展のはいまひとつ。

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彫刻もけっこう来ていた。ロダンが目立つ。

 

オーギュスト・ロダン《叫び》原型:1886年以前/ブロンズに鋳造:1962年か63年 ブロンズ

ロダンの叫び。

しかしロダンはやはり全身像がよい。

ヌード NUDE —英国テート・コレクションより および コレクション展(横浜美術館)の目撃談

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オーギュスト・ロダン《花子》制作:1908年/ブロンズに鋳造:1910年以降(アレクシス・リュディエによる) ブロンズ

花子はヨーロッパで活躍した日本人女優らしい。

この作品は製作途中なのか、縦横に線が走っている。

 

ポール・ゴーガン《ネヴァーモア》1897年 油彩、カンヴァス

横たわる女性のからだの重み、量感。

「ある種の豪華さ」を「マティエール」で表そうとしたらしい。

それは成功しているように思う。

タイトルはポーの『大鴉』からきているとか、きていないとか。

 

ポール・ゴーガン《テ・レリオア》1897年 油彩、カンヴァス95.1×130.2cm

期待以上のふくらみのある作品。

あぐらをかき顎に手をやる女性、笑っているのか。

暗くはないが、無邪気とはいえない、何か思いがあるらしき表情。

それは壁の絵やベッドの彫刻に反映されているのか。

と勘ぐってしまうほどいろんなものが描かれている。

そのいろんなものに緑色が乗せられている。

本展いちばんはこれかな。いつか再開したい作品。

でも次の改修まで待たないと日本では見られないかも。

 

 

  

 

混雑状況報告。

2019/9/27(金)16:451830ぐらいに鑑賞。

なかなか盛況。

各作品の独占はできても数秒。

ただ

比較的大きめの作品が多いので、独占できなくても見づらくはない。

また展示点数が抑えめなので人が詰まって動きにくいことはない。

 

2周。トビカンは出口から入口に戻れるところがよい。

 

   

 

◎コートールド美術館展 魅惑の印象派

 

東京展:東京都美術館

開催期間:2019910()1215()

 

愛知展:愛知県美術館 [愛知芸術文化センター10階]

開催期間:202013()315()

 

神戸展:神戸市立博物館

開催期間:2020328()621()

 

     

    

  

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